ときどき、プレゼンの技能を、才能によるものだと思う人がいます。
人前で話すのが上手な人。
滑舌のいい人。
「プレゼンとは、いかなるものか」
まだ一度も経験したことがない人には、何をどうすればいいのかわからず、困惑することでしょう。
いきなり本番に臨むのは得策ではありません。
プレゼンをスムーズに進めるため、まず心がけたい基本があります。
単純です。
発表で使う資料は、必ず発表者が作成することです。
やはりプレゼンには、雰囲気があります。
雰囲気は、一定ではなく、変化します。
たとえば、5人の発表者が、1人ずつ順番に発表するとします。
プレゼンでは、身ぶり手ぶりを入れて、発表しましょう。
言葉だけでの説明では抽象的ですから、両手を使えば、話の具体性は増します。
聞き手はわかりやすいと感じるに違いありません。
どんなプレゼンであろうと、100人中100人に納得してもらえるのは難しいものです。
発表内容が悪いわけではありません。
聞き手の中には、そもそも初めから聞く気のない人もいます。
プレゼンでは、質疑応答がつきものです。
わかりやすく説明するのはもちろんですが、すべての人が理解できるとは限りません。
説明の途中で疑問に思えば、質問を投げることになります。
勇気がないときに、無理に出そうとするのは、根本的な解決になっていません。
本来、プレゼンへの勇気は、自然と身につくものです。
一言で言えば「慣れ」です。
プレゼンを始めるやいなや、聞き手の硬い表情に驚くことがあります。
みんな、暗い顔をしたり、難しそうな表情をしたりするのです。
そういう表情をしていると、発表者は自分が悪いのかと思ってしまい、話しづらくなります。
人間は緊張すると、自然と早口になります。
緊張というのは、少し感情が高ぶっている状態です。
喧嘩のときは早口になるように、プレゼンで気持ちが高ぶっているときも、つい早口になってしまいやすいのです。
ときどきプレゼンの際、ひそひそ発表する人を見かけます。
内容は大変素晴らしいのですが、声がひそひそ声です。
大勢の人前に立って圧倒され、声が自然と小さくなっているのです。
プレゼンでは、ゆっくり話をしましょう。
みんなに聞こえるよう、大きめの声で発表します。
あらかじめそういう意識をしておくことが大切です。
プレゼンの参加人数がわかれば、資料は何部、準備しますか。
「もちろん、参加人数分の資料を準備する」
参加予定者が10人なら、10人分の資料。
プレゼンではあらかじめ参加人数を見積もります。
しかし、その人数ちょうどに集まることはまれです。
実際は、参加者の都合で人数が減ってしまうことがあります。
「ところでその提案は、本当に実現可能なのか」
プレゼンの質疑応答で、ずばり核心をついた質問が飛んできました。
限られた時間と資金で何かを進めるためには、有効性が気になるところです。
プレゼンで使う資料は、自分で何度も繰り返し確認すれば問題ないように思えます。
しかし、自分では主観的になりすぎて、なかなか悪いところが見えないものです。
たとえば「言葉や表現の問題」です。
プレゼンの資料に書かれていることを、単に棒読みするのはよくありません。
聞き手が眠くなるような、悪いプレゼンの典型です。
聞き手は、書かれていることを棒読みするくらいなら、わざわざプレゼンをする必要はないと思ってしまうのです。
「今回、これまでよりコンパクトな新商品をご紹介いたします」
プレゼンが始まるやいなや、急にこうした言葉が飛んできました。
どう感じましたか。
以前、私が会社で受けたプレゼンで印象深い光景がありました。
大変失礼ながら、プレゼンの内容はあまり覚えていません。
何が印象的だったのかというと、発表者のネクタイです。
発表者は、本番、次々と話を進めていきます。
話をするのはいいのですが、立て続けに話していないでしょうか。
たとえ、ゆっくりしたスピードで話していても、話し続けるのはよくありません。
プレゼンでは、リズムが大切です。
発表内容には、挨拶・問題提起・商品概要・機能特徴・まとめなど、各セクションがあるはずです。
問題なのは「1セクションの長さ」です。
「緊張さえなければ、うまくプレゼンができるのに……」
プレゼンの初心者にとって、一番の悩みはやはり「緊張」ではないでしょうか。
緊張さえなくなれば、どれだけ本番が楽になることか。
一般的に、プレゼンに慣れていない初心者の多くは、入社したばかりの新人ではないでしょうか。
新人は、キャリアの長い先輩には敬意を払って、立場をわきまえます。
横柄な態度や命令するような言葉遣いは控えますね。
プレゼンで、弱みを見せたら最後です。
企画や提案が不採用になる可能性が高くなり、発表者の評価まで下がってしまいます。
プレゼンとは、芝居を演じることと同じです。
「下見」という言葉を軽く考えている人がいます。
下見は、重要です。
お金もかからず、さほど時間もかからないのですから、絶対にすべきです。
プレゼンには、新商品の説明や月例報告など、さまざまな発表内容があります。
1ページ目から順番に説明するのですが、必ず設けていただきたいセクションがあります。
「まとめ」です。
通常、プレゼンでは、質疑応答の時間を設けています。
話の途中で随時受け付ける形式もありますが、プレゼンの最後に設けるのが一般的です。
プレゼンを経験したことがある人ならわかると思いますが、質疑応答は、発表者にとって緊張する時間です。
プレゼンを始めてしばらく経つと、残念ながら居眠りをし始める人がいます。
特に午後の昼食後のプレゼンでは、居眠りをされる確率も高くなります。
本来、発表者を目の前に居眠りをするのは、大変失礼なことです。
午後は居眠りされることが多い。
プレゼンの途中で休憩を入れた後は、居眠りする人は少なくなります。
午後は眠くなりやすいので、休憩を入れながら進めることがポイントです。
Appleの創設者スティーブ・ジョブズ氏は、卓越した発表者としても有名です。
わかりやすく説得力があります。
そんな彼のプレゼンでは、リハーサルは事前に何度も入念に行うそうです。