私の職場に、ある日、新人が入ってきました。
彼は、いつも仕事を真面目にこなしていて、仕事の文句も言いません。
言われた仕事を淡々とこなします。
真面目な人が入社したと、私もみんなも喜んでいました。
するとある日、思わぬ不満が出始めました。
「真面目すぎる」という不満です。
一緒に仕事をしている人は、あまりに真面目な彼の仕事ぶりに悩んでいる様子でした。
「真面目すぎて、どう接していいかわからない」と悩んでいます。
冗談、雑談、歓談が一切なく、笑いません。
別に悪いことをしているわけではないので、無理に笑えとも言いづらい。
言いづらいと、またストレスがたまります。
真面目なことは結構ですが、真面目すぎるのも、また問題です。
冗談の1つでも言えば、人間関係も柔らかくなります。
8割真面目で、2割のユーモアです。
冗談を言えば、自分が軽く見られるのではないかと思いますが、実は逆です。
適度なユーモアを取り入れたほうが雰囲気は柔らかくなり、むしろ人気を集めます。
元内閣総理大臣である小泉純一郎氏の街頭演説を、私は一度、直接聞きに行ったことがあります。
目の前5メートルの間近で「総理の話はどんなものか」と興味津々で見聞きしました。
演説を聴いていて最も印象的だったのは、真面目な話の途中で面白いジョークが出てくるところです。
「コーヒーを飲みながら聞いてください」
「直射日光が当たって、政治家なのに、皆さんより真っ黒です」
本気か冗談かはさておき、そういう面白おかしいユーモアで会場が笑い、雰囲気が明るくなります。
とりわけ、政治の話は難しくて固い内容ばかりですが、そんな中、ジョークの1つでも出てくると、雰囲気が和みます。
私は、彼の人気は、このユーモアにあると思いました。
それが、多くの票を集める、支持を得ることになったのだと思います。
ユーモアの力は、それほど強いものなのです。