不況には、必ず出る言葉は「節約」と「削減」です。
カラー印刷を控えてインク代を節約したり、仕事をしない昼食時は部屋の電気を暗くしたりなど節約を心がけます。
場合によってはボーナスの縮小という話も出ることでしょう。
それだけで終わればまだいい。
次にくるのは「削減」です。
広告費の削減。
運営費の削減。
人の削減です。
一番つらいのは、人を切らなければいけないことです。
人を削減するときの基本は、まず希望退職者の募集です。
辞めたい意志のある人から、先に辞めてもらい、それで不況が乗り切れそうなら問題解決です。
しかし、それでもまだ人の削減が必要である場合、やむなく強行的な削減となります。
これが一番つらいですし悩みどころでもあります。
首を切る側も、切られる側も痛みがあります。
どの企業でも人件費に占める割合は大きく、人を削りたい気持ちは強い。
社員を1人切ったとします。
しかし、実際には、1人ではなく大勢を切ったことになります。
働いている人には、養う家族がいるからです。
1人を切るということは、その家族大勢を同時に切ることになるということです。
食べていけなくなり、貧困生活を送らなければいけなくなります。
1人だけとはいえ、事実は1人ではない。
1人を切るというのは、同時に、その背後にいる大勢の人たちに迷惑をかけることになります。
本当に人を切るのは、最後の最後の手段です。
人を切る前に、ほかの手段から考えてみましょう。
たとえば「ワークシェアリング」はどうでしょうか。
1つの仕事を、複数人で分け合う労働様式をいいます。
残業はなくし、労働時間の短縮など、仕事を多くの人でわかち合うことで、雇用を確保します。
労働時間が減り、給料は少なくなりますが、人を切るよりはましです。
そういう苦しい決断は、労働者もわかってくれることでしょう。
また、不況のときこそ「教育」に力を入れましょう。
生産性の低い人の首を切るのではなく、生産性を上げるための教育を施します。
時間はかかっても、人を大切にするということです。
「ワークシェアリング」と「教育」
人を切る前に、いま一度検討しましょう。
大不況を乗り切る突破口は「ワークシェアリング」と「教育」にあるのです。