ある日、カフェでコーヒーを飲んでいると、若い女性2人が真横のテーブルに座りました。
ふと隣の人の会話が耳に入ってきました。
「久しぶりだね。元気していた。最近どうしている?」
休日、久しぶりに友人と会い、お互いの近状を伝え合っている様子でした。
聞こうと思って聞いているわけではありませんが、真横で話をされると、耳に入ります。
初めはたわいない光景と、ありきたりな会話でした。
しかし、途中からだんだん話がそれて行き始めました。
「うちの上司が無能で困っているんだ」
「社員への教育が全然なってなくて育っていない」
「うちの会社、経営状態がひどいよ」
隣で聞いていて「おいおい。この会社は大丈夫か」と思いました。
そもそも会社の外で会社のことを口にするのは、よくないことです。
外部の人に会社の内部情報を漏らしているようなものです。
外で会社のことを話すのはよくないとわかっているのでしょうが、愛社精神が低下しているので、うっかり忘れているのでしょう。
なにより、彼女が会社内部の情報を口外している時点で「社員への教育がなっていない」というのが信用できました。
彼女が会社内部の話をためらいもなく外で話すくらいですから、彼女のいう「教育が全然なっていない」は本当なのでしょう。
彼女以外にもその会社に勤めているほかの社員が、各地で会社の悪評をばらまいていると思うとぞっとします。
そういう状況が、すでに会社の危うさを物語ります。
私はその会社の経営状況はまったく知りませんが、そういう会話を耳にすると、会社の内部が見えてきます。
案外、そういう本音は、会社の中では聞けません。
会社では人間関係を重視しているため、言いたいことがあっても、言いにくい雰囲気があります。
社内では言いたいことは言えず、外に出たとき、吐き出してしまう。
会社内の状態は、社員が口にする言葉でわかるのです。