執筆者:水口貴博

不況を乗り切る経営者の30の心得

18

「辞めたい」という社員を、無理に引き止めない。

「辞めたい」という社員を、無理に引き止めない。 | 不況を乗り切る経営者の30の心得

不況のときには、会社の業績が悪くなります。

「この会社は大丈夫か」

「もっといい会社があるはずだ。辞めたい」

そう思い、どんどん社員が辞めたがろうとします。

「隣の芝生は青い」とはよく言いますが、まさにそれです。

特に不況のときは、他社のほうが業績は良さそうに見えて、一方で自社が最悪に見えてきます。

社員は自社の内部を知っていますから、自社が大変だというのがわかる。

一方でほかの会社は平静を保っているので、自社よりほかの会社のほうが安定して見えます。

もちろんそれは幻想です。

不況のときには、どの会社も火の車です。

ただ、それを努力してうまく繕い、見せていないだけです。

だから不況のときには、ほかの会社のほうがよさそうに見え、辞めていく社員が増えます。

そこで、ありきたりな光景があります。

「辞めようとする社員を社長が説得して引き止める」という光景です。

人が少なくなると、会社は余計に厳しくなるので、社長は何とか引き止めようとするのは当然です。

実際にうまく説得し、引き止めたとします。

引き止めたとしても、やはり社員のもやもやした気持ちは変わりません。

つらいときに逃げ出そうとする社員は、無理に引き止めないほうがいい。

つらいときに尻込みをするくらいですから、会社にいても大きな生産を上げてくれません。

また「辞めたい」と言っていますから、その意思を尊重することです。

辞めたいのに辞めさせてもらえず、裁判なんて起こされると、別の意味で問題になります。

パワーハラスメントなどうるさい時代です。

ただでさえ会社が苦しいのに、社員を無理に引き止めることに時間を使うのも無駄です。

不況のときに辞めたい人は、無理に引き止めないほうがいい。

辞めたいなら、辞めさせればいい。

つらいときでも一緒に頑張っていこうという気持ちが小さい証拠。

不況のときに人の入れ替わりが激しくなります。

これは大いに歓迎すべきです。

不況のときこそ、社員の本音が見えてきます。

やる気のある人は、つらいけど頑張ろうとします。

やる気のない社員は、転職して会社から逃げようとします。

つらいときこそ頑張ろうという熱い気持ちを持った社員だけが残り、冷めた気持ちの社員はどんどん辞めていく。

不況のときには、会社の新陳代謝が活発になり、社員の質が強化される時期なのです。

不況を乗り切る経営者の心得(18)
  • 辞めたいという社員を、無理に引き止めないようにする。
不況の突破口は、お客さまからのクレームだった。

不況を乗り切る経営者の30の心得

  1. 大不況こそ、企業の害毒を一掃する最高の機会。
  2. 経済を変えようとするのではなく、会社内部を変える。
  3. 過去の成功にしがみついている企業は、一瞬で不況の波に飲み込まれる。
  4. 不況に合わせて事業内容を変えることが、一番の不況対策。
  5. 給料が上がらないのは「期待を超える仕事」をしていないから。
  6. 「国や政府が助けてくれる」という期待は捨てる。
  7. 不況時、本物は生き残り、偽物は消えていく。
  8. 楽をして成長を急ごうとする企業は、不況にもろい。
  9. 時間のかかった成長ほど、不況に強くなる。
  10. 手抜きをしがち見えない部分を、あらためて強化しよう。
  11. 「強い者、頭の良い者が生き残るのではない。
    変化するものが生き残るのだ」
  12. もたもた始める改善は、思ったほど不況対策にはならない。
  13. コンコルドの失敗には、不況を乗り切る教訓が隠されている。
  14. 社員が陰で会社の悪口を言っているところは、倒産しやすい。
  15. いくら不況でも、お客さまへのサービスは手を抜かない。
  16. 不況を乗り切るには、お客さまへのサービスを強化・充実させればいい。
  17. 不況のときこそ、海外旅行へ行け!
  18. 「辞めたい」という社員を、無理に引き止めない。
  19. 不況の突破口は、お客さまからのクレームだった。
  20. 大不況のときこそ、社長は一番元気でいなければいけない。
  21. 頑張った人を表彰するイベントを、定期的に設ける。
  22. 現金をもらって、嬉しくない人はいない。
  23. 「不況」「不景気」という言葉は、禁句にする。
  24. お金に余裕がないとき、判断力は著しく低下する。
  25. 無理な買わせ方で売り上げを伸ばした会社ほど、不況時にあえぐ。
  26. 本当にお客さまの役に立ち、喜ばれている会社に、不況は関係ない。
  27. 調子が悪いときほど「夜遅く」ではなく「朝早く」。
  28. 希望退職者を募集すれば、穏便に人の削減が可能になる。
  29. いきなり人を切らない。
    「ワークシェアリング」と「教育」で乗り切れ!
  30. 不況とは、忘れかけていた何かを思い出させてくれる時期。
3:15

関連記事

© HAPPY LIFESTYLE CORPORATION