不況のときには、会社の業績が悪くなります。
「この会社は大丈夫か」
「もっといい会社があるはずだ。辞めたい」
そう思い、どんどん社員が辞めたがろうとします。
「隣の芝生は青い」とはよく言いますが、まさにそれです。
特に不況のときは、他社のほうが業績は良さそうに見えて、一方で自社が最悪に見えてきます。
社員は自社の内部を知っていますから、自社が大変だというのがわかる。
一方でほかの会社は平静を保っているので、自社よりほかの会社のほうが安定して見えます。
もちろんそれは幻想です。
不況のときには、どの会社も火の車です。
ただ、それを努力してうまく繕い、見せていないだけです。
だから不況のときには、ほかの会社のほうがよさそうに見え、辞めていく社員が増えます。
そこで、ありきたりな光景があります。
「辞めようとする社員を社長が説得して引き止める」という光景です。
人が少なくなると、会社は余計に厳しくなるので、社長は何とか引き止めようとするのは当然です。
実際にうまく説得し、引き止めたとします。
引き止めたとしても、やはり社員のもやもやした気持ちは変わりません。
つらいときに逃げ出そうとする社員は、無理に引き止めないほうがいい。
つらいときに尻込みをするくらいですから、会社にいても大きな生産を上げてくれません。
また「辞めたい」と言っていますから、その意思を尊重することです。
辞めたいのに辞めさせてもらえず、裁判なんて起こされると、別の意味で問題になります。
パワーハラスメントなどうるさい時代です。
ただでさえ会社が苦しいのに、社員を無理に引き止めることに時間を使うのも無駄です。
不況のときに辞めたい人は、無理に引き止めないほうがいい。
辞めたいなら、辞めさせればいい。
つらいときでも一緒に頑張っていこうという気持ちが小さい証拠。
不況のときに人の入れ替わりが激しくなります。
これは大いに歓迎すべきです。
不況のときこそ、社員の本音が見えてきます。
やる気のある人は、つらいけど頑張ろうとします。
やる気のない社員は、転職して会社から逃げようとします。
つらいときこそ頑張ろうという熱い気持ちを持った社員だけが残り、冷めた気持ちの社員はどんどん辞めていく。
不況のときには、会社の新陳代謝が活発になり、社員の質が強化される時期なのです。