明るい父親・母親から育てられた子どもは、やはり元気になります。
子どもは、両親の顔色をうかがっているものです。
親の表情が暗いと「元気ないな」と思い、話しかけにくくなったり行動を控えたりしてしまいます。
しかし、親の表情が明るいと「元気がいいな」と思い、話しかけたり行動的になったりします。
家計が苦しくても「私の家庭は幸せでいっぱい」というそぶりを見せるのは、1つの教育です。
つらいときこそ、元気を装うプラス思考を、子どもは学びます。
元気になります。
子どもは敏感ですから、親の演技は、うすうす気づいています。
気づいていますが、前向きに生きていこうとする姿勢を、学びます。
子どものプラス思考は、こうして育っていきます。
企業内でも同じ話です。
不況のとき、一番元気でいなければいけないのは、社長です。
本当は、売り上げが伸びず、泣きたいところでしょう。
しかし、嘘でもいいので、元気なふりをします。
元気なふりとはいえ、やみくもに景気のいい買い物をしたり、銀座のクラブへ出かけたりする意味ではありません。
いつも歯を見せて笑い、よく動き、元気な様子を見せます。
その元気が、部下たちにも移ります。
元気には、伝染する作用があり、伝染する仕方も特徴があります。
企業内の元気は、上から下へと降りてくるようになっています。
会社の中で社長が一番元気になることで、部長が元気になり、課長も元気になり、部下たちも元気になります。
雪のように元気が、ぱらぱら降ってきます。
不況のときに、社長からの言葉は「今は大変な時期ですが」という暗い話ではありません。
「こんな時期だからこそ頑張りましょう」という元気を見せます。
社員は、社長が空元気だということは、うすうす気づいています。
気づいていますが、やはり元気になります。
大変な時期だけど、社長が空元気の1つでも出して乗り切ろうとする意気込みは、不思議と社員に伝わります。
「社長が頑張っているんだから、自分たちも頑張ろう」
言葉ではなく、気持ちとして伝わります。
社長が、社内で最も笑い、最も行動的になることです。
たったこれだけですが、不況対策への効果があります。
大不況のときこそ、社長は一番元気でいなければいけない。
大変なことですが、大事な社長業の1つなのです。