仕事ができる人は、優しい人です。
自分ができることを知っているため、知識や技術をひけらかしたりしません。
そんなことをすれば、今、一生懸命に頑張っている人たちが気を悪くするからです。
一生懸命頑張っている人にアドバイスをすることは、聞いてきたときにだけすればいいのです。
本当に知りたければ「どうすればいいのですか」と向こうから聞いてきます。
そのときに、初めて答えればいいのです。
聞いてきたことだけを、わかりやすく答えればいいのです。
聞いてもいないことまで延々と話をする人がいますが、聞いてもいないことは知りたくもないことです。
もっと知りたければ、もっと聞いてきます。
私が「これはうまい教え方だな」と印象に残ったアニメがあります。
アニメ『頭文字D』の主人公のお父さんを見たときです。
主人公は、車のドライビングがうまくなりたいからと、お父さんに聞きに行きます。
お父さんは、ドライビングの達人です。
上手で、かなう相手がいないほど達人なのです。
しかし、お父さんはとても無口です。
と言うより、口で教えることではないことを知っていますから、話さないだけです。
それでも、主人公は何か1つでもアドバイスが欲しいので聞きに行きます。
そこで初めて、一言だけアドバイスをします。
それ以上のことは言いません。
主人公は一言のアドバイスを、重く受け止めます。
どういう意味なのか、実践しながら考えます。
本当にうまい人は、極限のアドバイスをします。
たった一言に、全部を圧縮することができるのです。
「どうすればホームランがうまく打てますか」
野球の長嶋元監督に聞いても「簡単ですよ。こうね、パーンとバットを振るだけですよ」と答えます。
長嶋監督のアドバイスは「パーン」の一言だけです。
長嶋監督の野球人生すべての要素が、この「パーン」の一言に凝縮されているのです。
長い話は聞いている人を疲れさせます。
本当に本人のためを思うなら、一言で説明することです。
親切心からたくさん話をしてしまっては、どれが本当に大切なことなのか、逆にわからなくなります。
本人のためによいアドバイスをしようと思うなら「短く一言」につきます。
大切な言葉には、飾りは必要ないのです。