人に優しくするためには、何らかのアクションが必要と思われがちですが、その限りではありません。
相手のためとはいえ、何かしてあればいいわけではありません。
声をかけたり助けたりすればいいわけではありません。
あえて何もしないことがベストということがあります。
たとえば、友人が落ち込んでいて「1人にさせてほしい」と言われたとします。
こういうとき、ずけずけ話しかけたり家に押しかけたりするのは良くありません。
「1人になるのは良くないよ」という説得も不要です。
明るい声をかけるのが優しさと思われますが、そうとは限りません。
「1人にさせてほしい」と言われたら、そっとしておくのが優しさです。
何か特別なことは必要ありません。
あえて距離を置いたり、静かに見守ったりするだけが良いこともあります。
仕事で忙しそうにしている人がいるとします。
忙しそうにしているからといって、声をかければいいわけではありません。
集中している様子であれば、話しかけないようにするのがいいでしょう。
話しかけたせいで、集中力がぷつんと切れるかもしれません。
仕事の邪魔になるかもしれません。
急ぎの用事でないのであれば、後から連絡すれば済むことです。
誰でも「1人にさせてほしい」「声をかけないでほしい」と思う瞬間があるものです。
そういう気持ちの人には、そっとしておくのがベストです。
「声をかけたい」「何かしてあげたい」と思っても、ぐっとこらえて、見守るだけにします。
何でも声をかければいいわけではありません。
相手のために何かしてあげたいと思うところですが、相手の様子によっては意識的に控えたほうがいいときもあります。
相手のためを思ってしたことが、逆に迷惑となることがあります。
自分の優しさが、相手にとってはありがた迷惑になることがあります。
「ほうっておく」「そっとしておく」は似て非なるものです。
「ほうっておく」は、相手のことを理解せず、無関心の状態のことをいいます。
「そっとしておく」は、相手のことを理解したうえで、あえてそのままにしておくことをいいます。
優しさを押し付けるのは、自分のエゴです。
相手のためになってこそ優しさです。
自分の優しさを押し付けるようなことがあってはなりません。
1人にさせてほしい人には、そっとしておくのが優しさです。
助けを必要としていない人には、そのままにしておくのが優しさです。
判断が難しいときもあるでしょう。
そんなときは「自分が相手の立場だったらどうだろうか?」と考える時間を作ってみてください。
おのずと答えが見えてくるはずです。