「プラス思考になりましょう」
「良いところだけを見ましょう」
「もっと愛と感謝の気持ちを持って、人と接しましょう」
世間では、こうした前向きな考え方があふれています。
本屋に行けば、何十万冊という本があなたに、プラス思考というものを教えてくれます。
おや。
不思議なことに気づきませんか。
これだけ世の中にプラス思考の本があふれていれば、世のすべての人間は、とっくにプラス思考になっているはずです。
世の中に悩みなど、ないはずです。
愛と希望に満ちあふれ、幸せな人生を送っていることでしょう。
世界は平和になり、戦争などないはず。
しかし、現実は、そうではありませんね。
むしろプラスになっていない人のほうが多いのです。
おかしいですね。
プラス思考になろうと思っても、なかなかそうできない現実があるからです。
頭でプラスとわかっていても、本当に心の底からそう思っているわけではありません。
嫌いな気持ちを押し殺し、無理をしているだけです。
プラス思考を心がけ、無理をして嫌いなことをしているから、なかなかハッピーになれないのです。
「プラス思考になろう」と思うのは、つまり「プラス思考ではない」ということです。
プラス思考ではないから、無理をしてプラスの考え方に持っていこうとします。
無理をしてプラス思考になったところで、本当の気持ちはそうではありません。
プラス思考になろうと思う人ほど、プラスに思っていないということです。
自分に嘘をつき、嫌いという反発力を無視して近づいているわけです。
「嫌いだ!」
「やりたくない!」
「したくない!」
こういう気持ちが、正直な気持ちです。
うまくいかなかったときには「やっぱりうまくいかないじゃないか」と納得して「自分は人として失格だ」と落ち込んでしまいます。
プラス思考になろうとしたばかりに、余計にマイナス思考になってしまうという悪循環です。
これが、プラス思考の副作用です。
心の底から「プラス」だと思っていない本当の気持ちがあるため、うまくいかなかったときにさらに落ち込んでしまいます。
プラス思考を学習するのは、自分の気持ちに嘘をついて、嫌いなことを無理やり行うことをいいます。
それは本当のプラス思考ではありません。
プラスとして思えない現実に気づくことを、本当のプラス思考というのです。