私は何匹も犬を飼ったことがありますが、子犬のころはたいていおとなしいです。
おとなしくて、警戒心が小さく、人懐こい。
ときどき「わんわん」と吠えることはありますが、それでもまれです。
おおむね子犬は人懐こく、他人に吠えることもあまりありません。
「よかった。手のかからないおとなしい犬に育ちそうだ」
ほっと胸をなで下ろします。
しかし、そう思うのも、つかの間です。
生後6カ月くらいを過ぎたくらいからでしょうか。
急に吠え始めるようになります。
吠えるとはいえ、本格的な吠え方です。
性格が変わったかのように、けたたましい声で、本気で吠え始めます。
子犬のころはおとなしくて人懐こかったのに、成長してから見知らぬ人に対して、手当たり次第に吠えるようになる。
「本気で飛びかかるのではないか」と飼い主が心配するくらい、激しく吠えます。
「子どものころはあんなにおとなしかったのに、なぜ急に?」
心配はいりません。
実は、これが正常な成長です。
子犬のころおとなしかったのは、未熟であるゆえに警戒する気持ちもきちんと育っていなかっただけです。
人懐こくておとなしいのではなく、単に警戒をしていなかっただけです。
しかし、生後6カ月を過ぎ、それなりに成長した結果、警戒心を持ち始めます。
そのため、以前は吠えることのなかった見知らぬ人や車に対して、一転して吠え始めるようになります。
飼い主としては困惑するところですが、きちんと成長しているサインです。
もちろんあまりにうるさく吠えるのは問題ですが、飼い主としてはひとまず、犬らしく育っていることに安心してかまいません。