飼い主と2人のときにはおとなしいのに、ほかの人を見るやいなや、強く吠えることがあります。
これはもちろん警戒しているからであり、不思議なことではありません。
しかし、飼い主以外の人と会うたびに吠えるのでは、人の住む社会に十分なじんでいるとは言えません。
ほかの人とすれ違うために威嚇したり吠えたりするのでは、散歩にも一苦労です。
宅配業者が来るたびに吠えていると、飼い主としても手間がかかりますし、相手にも迷惑です。
そこで必要なのは「人に慣れさせる」というしつけです。
できるだけ多くの人に会わせ、頭をなでてもらったりして触れさせ、人に慣れさせていきましょう。
特に生後3カ月間は、警戒が弱く、多くの人を受け入れやすい「社会化期」と呼ばれる時期です。
飼っている犬がこの時期なら、多くの人に合わせたり触れさせたりすることで、人に対する警戒心が小さくなりやすいです。
もちろん成犬になってからも人に慣れさせることはできますが、幼犬のころと比べれば、少し時間がかかります。
時間はかかりますが、根気よく「人は安全」ということを教えていきましょう。
ただ、子どもを触れさせる場合は、少し注意が必要です。
子どもは動きが不規則で、大声で騒いだり、いたずらをしたりします。
珍しい犬を見て、耳やしっぽに触れると、犬は怒って噛みついてしまうこともあります。
必ず飼い主がそばにいて、子どもに飛びかかることがないようにしておきましょう。
また、人以外の小動物たちにも慣れさせることもポイントです。
社会で出会うのは人だけではありません。
散歩をしていると、ほかの犬と出会うこともありますし、猫もいれば小鳥が飛んでいることもあります。
社会化期なら、ほかの犬や猫やウサギにも慣れやすくなります。
そうした動物たちにも慣れさせておくと、成犬になってから手間がかからなくなります。
ただしこの場合も、犬が不意に噛んだりしないように飼い主は注意することが必要です。
成犬が小さなひよこ、ハムスターのような小動物を見れば、狩猟本能が駆り立てられ、噛んで食べてしまうこともあります。
小学生のころ、自宅で飼っていたニワトリが生んだひよこを、自宅で飼っていた犬(成犬)に食べられたことがあります。
これがかなりトラウマになり、それ以来、小動物をむやみに近づかせるのはやめました。
成犬になってからは、小動物に無理に慣れさせるのはリスクがあるので、控えたほうが無難でしょう。