山で遭難した人が、山から抜け出せないのは、同じところを何度もぐるぐると歩き回っているからです。
まっすぐ進んでいるつもりなのに自然と道筋が傾いて「おや。さっき通った道ではないか」ということになります。
焦ってしまうと体力を消耗してしまい「あれあれ? また同じ道だ。どうなっているんだ」となります。
まっすぐ進んでいるつもりでも、ぐるぐると同じところを回り、いつまでも山から抜け出せません。
これが遭難するパターンです。
「自分は山に登らないから大丈夫!」
おや、のんきなことを言っている場合ではありません。
遭難するのは登山中だけ、とは限りません。
数学の試験中にも、遭難することがあります。
数学問題の回答形式といえば、大きく与えられた余白に解答を書く形式です。
問題文は、たったの数行なのに、解答を書く余白は1ページまるごとという場合も少なくありません。
問題文よりはるかに大きな余白に、違和感を覚える人も多いことでしょう。
「マス目を埋める形式」もありますが、大学受験ではまれです。
ほとんどの大学では、与えられた大きな白紙に計算式を書いて、答えを記述していく形式が中心ですね。
この形式の場合、1つアドバイスがあります。
消しゴムをあえて使わないことをおすすめします。
完璧主義の人は、誤字脱字もなく、読みやすくてきれいな回答を作りたがろうとします。
実は、汚いほうが点は取れやすい。
間違えた計算プロセスを残すためです。
もし消しゴムで消してしまうと、どうなるでしょうか。
間違えたプロセスが完全に消えます。
消してしまうと間違えたプロセスが見えなくなり、頭が混乱します。
別の方法で解いているつもりでも、さっきと同じ失敗を繰り返してしまう可能性があります。
どんなやり方を、どれだけ試したのかも、消しゴムで消してしまうと消えます。
山の遭難と同じで、前に進んだつもりが、同じところをぐるぐると回っていただけということにもなりかねません。
その結果、回答に行き着くまでに時間がかかったり、場合によってはたどり着けなかったりします。
だからこそ、数学の試験では消しゴムは不要です。
あえて、プロセスを残します。
計算式を間違えたなら、二重線を引っ張って消しましょう。
頭の中を整理しやすくするため、間違えたところを残します。
そうすると頭の中を整理しやすくなり、同じ失敗をすることはないはずです。
また、間違えたプロセスを残すことで、部分点がもらえる可能性が出てきます。
採点者が、回答者の考えた計算の様子をうかがい知り、試行錯誤のプロセスが見えれば、部分点をもらえる可能性があるのです。