学校では、成績優秀の人が主役になります。
学級委員長といえば、決まって成績のいい人が選ばれます。
しかし、カラオケでは、音痴の人が主役になります。
これが、カラオケの面白いところです。
学生時代、タツヨシ君という音痴の友人がいました。
何の曲を歌っているのかわからないほどの、音痴です。
彼が歌うと、まったく違う曲に聞こえます。
まったく新しい曲になり、カラオケボックスは笑い声だけになります。
乗りのよい曲も、タツヨシ君が歌うだけで、笑いの止まらない曲に変えてしまうところはすごいと思います。
笑ってはいけないと思うほど、笑いが止まらなくなり、聞いている人を笑いのうずに巻き込みます。
カラオケでは、下手だからとはいえ、聞いている人は怒ることはありません。
「もっと歌ってくれ」と頼まれ、アンコールになります。
楽しいことが、一番なのです。
学校では、難しい顔をして勉強しています。
難しいことを考えているから楽しくなくなり、険しい表情になるのです。
頭のいい人が、うっかり問題を間違えるとほっとするものです。
意外な人が、テストで悪い点を取っていたり、間違っていたりすると、ほっとしませんか。
実はみんな、難しいことは嫌いなのです。
楽しさを求めているのです。
カラオケでは、歌がうまい人が歌い始めると、妙に場が白けてしまいます。
次に歌う人が、歌いづらくなります。
歌がうまければうまいほど、冷たい雰囲気になってしまい「もう帰ろうよ」という気持ちになります。
その反面、音痴の人が歌い始めると「もっと歌ってくれ!」とアンコールになり、盛り上がっていくのです。
カラオケでは、音痴の人が主役になるのです。