「初心忘るべからず」
室町時代の能役者・能作者で有名な世阿弥の言葉です。
「物事を始めたころの謙虚で真剣な気持ちを忘れてはならない」という意味であり、能に限らず、人生において参考になる金言です。
悪い流れになっているときは、いつの間にか初心を忘れていることが多いもの。
慣れるにつれて純粋な心が失われてしまうことがあります。
見栄を張ったり、惰性やマンネリに流されたり、打算や損得勘定など腹黒い考えに振り回されたり……。
始めたころの初々しい気持ちが失われ、すっかり気持ちが緩んでいることは少なくありません。
慣れには「良い慣れ」と「悪い慣れ」があります。
仕事のスピードやクオリティーのアップにつながるなら、良い慣れといえますが、残念ながら逆のケースもあります。
仕事のスピードダウンやクオリティーダウンにつながるなら、悪い慣れです。
長く続けるにつれて緊張感がなくなり、悪いほうに慣れてしまい、だらだらしていることがある。
気づかないうちにルールの形骸化や社会的手抜きが行われていることもあります。
立派に掲げていた目標が、いつの間にか消えていることもあるでしょう。
これはよくありません。
仕事でも何でも、悪い流れが続いているときは、いま一度初心に返ってみてください。
あらゆることにおいて、初心があります。
「始めたときは、どんな気持ちだったのか」
「始めたときは、どんな目標を持っていたのか」
初心に返ると、大事なことを思い出すでしょう。
純粋な気持ちや目標を思い出し、再び真剣な態度で取り組めるようになります。
初心を思い出すことで、自分の成長を確認できることもあります。
変化がないように思えても、いつの間にか成長している自分がいるもの。
過去と現在の自分を比較することで成長できたことに気づけば、喜びを感じて自信も出てきます。
いま一度初心に返り、緊張感を持った仕事に取り組みましょう。
初心に返ることで、悪い流れを断ち切れるのです。