すでにあなたは厳しい競争で1位を取ったことがあります。
それは日本一より厳しい競争であり、しかも命をかけた壮絶な戦いです。
「そんな競争をした覚えはない」と思うかもしれませんが、紛れもない事実です。
実際に1位を取っていなければ、今あなたはここにいません。
その競争とは、あなたが生まれる前にありました。
「受精競争」なのです。
あなたがこの世に生まれる10カ月ほど前のことです。
お父さんから放たれた精子は、お母さんの卵子に向かって突き進んでいきました。
精子の数は、およそ3億です。
膣内のペーハー値は3.8~4.5の酸性であるため、精子は長時間生存できません。
卵子にたどり着くまでには、勢い、スピード、生命力が必要です。
卵子に入り込んだ最初の精子だけが受精することになり、妊娠、出産を経て、この世に誕生することになります。
なんと素晴らしいことなのでしょう。
まずこの事実に驚くことです。
精子が受精できる確率は、3億分の1です。
言い方を変えれば「3億の競争で1位を取ったことがある」ということです。
想像してみればわかりますが、3億の競争で1位を取るのはきわめて大変なことです。
全国模試で1位を取るよりはるかに難しいことです。
日本の人口は現在、およそ1億2000万人です。
3億の中で1位を取ったことがあるというのは、日本一よりはるかにすごいことです。
まったく記憶も自覚もないことでしょうが、あなたの過去には事実として、厳しい競争で1位を取ったという勝利実績があるのです。
厳しい競争で1位を取ったご褒美が「命」です。
命があるからこそ、この世に誕生することができ、生きることができています。
命はお金より貴重なものであり、人生で最も価値のあるものです。
命があるから人生を生きることができます。
厳しい競争に勝ったご褒美ですから、どうか大切にしてください。
もちろんあなただけでなく、この世に存在する人はすべて、厳しい競争で1位を勝ち取った人ばかりです。
この事実を知ったうえで、世の中を見え方が変わります。
自分に自信を持ってください。
厳しい競争で1位を取ったあなたが素晴らしくないわけがありません。
自分の偉大な勝利に誇りを持ってください。
また、厳しい競争で1位を取った命も大切にしましょう。
与えられた命、素晴らしい命、かけがえのない命に感謝しましょう。
命は有限です。
この世に生まれてきたあなたは、80年から100年ほど生きることになります。
人生とはいわば、期間限定の壮大な旅行です。
限られた時間ですから、どうか素晴らしい人生を楽しんでください。
命があるのは、厳しい競争で1位を取った証拠なのです。