「やばい」という言葉は便利です。
良い意味・悪い意味の両方を含んでいるので、活用範囲が多岐にわたります。
たとえば「やばい味」は「おいしい」「まずい」の両方の意味で使えます。
「やばい人」は「素晴らしい人」「危ない人」の両方の意味で使えます。
「やばい光景」は「美しい光景」「恐ろしい光景」の両方の意味で使えます。
便利な表現で、日頃から多用してしている人も多いのではないでしょうか。
ここに落とし穴があります。
やばいは便利な言葉である一方で、やや軽率な印象があり、知性や品位に乏しい表現です。
やばいを使えば使うほど、他の表現を使う機会が減ってしまい、語彙力の低下を招きます。
もともとやばいという言葉は、ヤクザや犯罪者の隠語です。
犯罪者仲間が身に危険が迫っていることを知らせるために使われていました。
もちろん言葉は生き物です。
時代と共に意味も変化するものですが、もともとネガティブな意味で使われていたことは知っておいて損はないでしょう。
現在でも、使い方に注意が必要な言葉の1つです。
やばいを使えば使うほど、品位も語彙力も落ちるのです。
品位を落としたくないなら、やばいを禁句にするのが賢明です。
口癖になっている人もいるでしょう。
つい口から出そうになっても、ぐっと飲み込みます。
品のない表現を禁句にすると、おのずと別の表現を使わざるを得なくなります。
「ほかにどんな言い方があるだろうか」と考えることになり、少しずつ語彙力が磨かれていきます。
やばいを禁句にすると、言いたいことが言えなくなると感じるかもしれませんが、誤解です。
表現はほかにもたくさんあります。
「やばい味」という表現があります。
良い意味であれば「おいしい」「舌がとろけそう」「早く次の一口を食べたい」という言い方ができるでしょう。
悪い意味であれば「変わった味」「珍しい味」といった言い方ができるでしょう。
「やばい人」という表現があります。
良い意味であれば「素晴らしい人」「すてきな人」「ユーモアがあって面白い人」といった言い方ができるでしょう。
悪い意味であれば「危ない人」「怒りっぽい人」「関わってはいけない人」といった言い方ができるでしょう。
「やばい光景」という表現があります。
良い意味であれば「絶景」「美しい光景」「壮大な光景」「天国のような光景」といった言い方ができるでしょう。
悪い意味であれば「殺風景」「恐ろしい光景」「醜い光景」「地獄のような光景」といった言い方ができるでしょう。
奇をてらった表現は必要ありません。
普通の言い方で十分です。
品位は、普通の言い方で十分表現できます。
悪い意味であっても、できるだけオブラートに包んだ言い方を工夫することが大切です。
なかなか表現が見つからないときは、類義語辞典を活用しましょう。
今まで思いつかなかった表現がたくさん見つかって便利です。
やばいを禁句にすると、品位と語彙力が高まるのです。