趣味は、慣れるにつれて油断をしがちです。
最初は緊張して、抜かりのない準備を心がけます。
ところが何度かやっていくうちに、コツや要領もわかってきて、スムーズに行えるようになります。
頭で考えなくても、勝手に体が動くようになります。
そして手抜きが始まるのです。
手抜きには「良い手抜き」と「悪い手抜き」の2つがあります。
良い手抜きは、質や安全に関係ない部分を省くことです。
一から十まですべて徹底するのは、時間もお金もかかりすぎて、負担が大きくなります。
必要がないことはどんどん省くべきです。
良い手抜きは、むしろ必要なことといえます。
問題なのは、悪い手抜きです。
悪い手抜きは、質や安全に関係ある部分まで省いてしまうことです。
これはNGです。
油断は、災いを招くもとです。
質や安全に関係するところまで省いたら、リスクが急上昇します。
笑って済むような話ではなく、場合によっては大きなトラブルにつながりかねません。
どんなに楽しい趣味も、大きなトラブルに遭っては台無しです。
趣味人は、どれだけ慣れても、安全対策を怠りません。
多くの失敗事例を学んでいて、安全対策を怠ると、大きな危険を招くことを知っているからです。
海外旅行に行くときは、きちんと保険に入ります。
トラブルに遭わないよう、怪しい場所へは行かず、夜間の外出も控えます。
盗難に遭わないよう、スーツケースにはネームタグをつけ、人混みではバックを前に抱えます。
登山に出かけるときも、まず安全対策を重視します。
適切な服装と食料の持参はもちろん、雨具・非常薬・日焼け止め・着替えなど、十分な装備を心がけます。
事前に地図を熟読して、登山届も提出します。
大雨や台風の場合は、勇気を持って中止の決断を下します。
キャンセル料が発生したり、今までの労力が水の泡になったりするかもしれませんが、趣味人はそれを受け入れます。
スポーツでも、しっかり安全対策を行います。
故障を避けるため、急に激しい運動はせず、まずウォーミングアップを入念に行います。
暑い日は小まめな水分補給を心がけたり、多めに休憩を取ったりします。
スポーツ中に体調が悪くなれば、無理をせず、すぐ休養を取ります。
趣味とはいえ、油断をすると、大きな後悔につながる可能性があります。
一瞬の油断が、一生の後悔を生むことは珍しくありません。
車の運転でも、慣れたときが危ないといわれます。
趣味人は、趣味の光と闇をよく知っています。
趣味は楽しいだけではありません。
どんな趣味にも、何らかの危険が潜んでいます。
一歩間違えると、大事故につながるケース、命につながるケースもあります。
安全対策を講じておくことで未然に事故を防止できます。
万一のことがあったとしても、スムーズに対処できます。
趣味人は、どれだけベテランになっても、安全対策だけは怠らないのです。