私が韓国旅行にいったときです。
節約のためにモーテルに泊まろうと思い、ホテルを予約せずに向かったことがありました。
モーテルとは「motor」と「hotel」との合成語からできた言葉で、もともとは自動車旅行者のための宿泊所です。
もちろん自動車旅行者ではなく、一般の人も宿泊できます。
そのため、一般的なホテルほど、清潔感も備品もサービスもありません。
一言で言えば「寝られればそれでいい」という人向けの格安の宿です。
ホテルと比べて圧倒的に格安なので、私は韓国旅行もモーテルで泊まろうと思いました。
普通は旅行に行くとき、現地のホテルや旅館を予約してから向かいます。
たとえ慣れている国内でも、泊まるところがないまま向かうのは不安になりますが、海外ならなおさらです。
やってみればわかりますが、ホテルを予約せずに海外旅行に行くのは、独特の緊張感があります。
「もし、どこも満室で泊まれなかったらどうしよう。橋の下で寝ようかな」という妄想が広がります。
韓国に到着してモーテルを探してみたところ、思っていた出来事が起こりました。
ちょうど大型連休と重なっていたため、尋ねるモーテルはどこも予約でいっぱいでした。
何件も宿を尋ねましたが、どこも「満室です」と断られます。
大きなホテルなら空き部屋はありますが、宿泊できるほど大金を持ってはいません。
宿を探すために時間をかけてしまい、半日くらいつぶれてしまい、泣きそうになりました。
「こんなことになるんだったら予約しておくべきだった」と後悔しました。
10件目くらいの宿で「満室なんです」とまた断られ、私の表情がよほど暗かったのでしょうか。
ちょうど隣り合わせにいた日本語を話せる韓国人が、話しかけてきました。
「ちょうどこの時期はどこもいっぱいだからね。近くに安くていいところがあるよ」と言って、指を差して紹介してもらいました。
ちょうど歩いていける距離だったので「物は試しで行くだけ行ってみよう」と向かいました。
大通りから外れた、細い道を曲がって進み、奥に隠れるようにあるわかりにくい場所でした。
そのわかりにくい場所のせいなのか、その宿は空室が目立ちます。
なおかつ、モーテルとは思えないくらいよくできた宿でした。
ベッド・冷蔵庫・テレビ・ビデオ・シャワーなど、ひととおりの設備はあって、寝るには十分すぎるほどです。
また「オンドル式」という床が暖かい、韓国独特の部屋の作りでした。
これだけ揃って、1泊わずか3,000円という格安です。
「これはいいところを見つけたぞ」と思い、急に得をした気分になりました。
旅行ブックにも載っていましたが、本の隅に小さく書かれているだけでした。
文面では、まさかこんな穴場だとはわかりません。
思えば当然のことで、やはり現地のことは、現地の人が一番詳しいです。
どんなに詳しい旅行ブックも、現地に住んでいる人に聞くと、実際の情報を聞けます。
困ったときには、ガイドブックを読むより、現地の人に直接聞くという方法を学んだ珍道中だったのでした。