「性格を変えたい!」
こうした悩みを抱いたことは、私だけではないはずです。
私も昔、自分の性格を変えようと必死になったことがあります。
友人に好かれるために性格をよくしようとしたり、もっと明るくなろうとしたりしましたが、どれもうまくいきませんでした。
自分を変えようと努力すれば、たしかに変わったような気にはなります。
しかし、ちょっと油断をすれば、またいつもの性格に戻ってしまいます。
それもそのはず。
私は私にしかなれないからです。
チューリップのタネがあるとします。
チューリップのタネからは、何の花が咲くでしょうか。
もちろんチューリップに決まっていますよね。
チューリップのタネからは、チューリップしか咲きません。
チューリップのタネから、バラの花やヒマワリの花が咲くということは、万が一にもあり得ません。
しかし、私がしようとしていたことは、チューリップのタネからバラの花を咲かせようとしているようなことだったのです。
チューリップのタネからはチューリップの花しか咲かないように、私は私にしかなれないのです。
自分を変えようとしても、初めから不可能なことです。
むしろ、最初からある自分を、もっと出していけばいい。
チューリップはチューリップらしく生きることが一番いいように、私は私らしく生きることが自然であり、伸びる生き方です。
私には元来「せっかち」という性格があります。
せっかちな性格のため、もたもたのろのろするのが、あまり好きではありません。
過去に何度も「直そう、直そう」としましたが、また元に戻ってしまいました。
チューリップがヒマワリになろうとしても、やはりそれは不可能だったということです。
私のせっかちな性格は、生まれつきです。
嫌いだったこの性格を、ある日、直すのをやめて、むしろそのまま出していこうと思いました。
せっかちな性格には、努力を必要とせず、初めから身についていることだから、私には得意技です。
もうすでに身についているこの性格を、どんどん生かして生きていこうと、考え方を変えました。
私は本を書くときには「一気に書き上げる」というスタイルを、貫いています。
せっかちだからです。
1冊目から、1つの例外もありません。
貫くと言っても、もともと私はせっかちなので「一気に書き上げる」しかできないのです。
一気に書き上げることで、勢いで次々と書くことができるため、結果として質が上がり、全体的に統一感が生まれます。
文章全体が私の気持ちの流れに沿って、書きつづられています。
勢いがあるからこそできることです。
もたもたしていると、さっき考えていたことを忘れてしまい、今書こうとしていたことも忘れます。
せっかちな性格を生かしたからこそ、できたことです。
せっかちな性格を生かして、HAPPY LIFESTYLEは作られています。
私のせっかちな性格を生かすことで、自分にベストな生き方を確立しています。
初めから、性格を変える必要などなかったのです。
性格を変えるのではなく、生かせられるように、うまく活用すればいい。
自分の今の性格にだけは、もうすでになることができているのですから、完璧なのです。
世間ではこんな声をよく耳にします。
「性格を直しましょう。性格を改善しましょう」
よくよく考えると、おかしな話ですね。
チューリップの花に「バラになりましょう」と言い、バラの花に「ヒマワリになりましょう」と言っているようなものです。
似せて真似できるかもしれません。
しかし、どんなに似ているとはいえ「偽物」でしかありません。
一時的な効果しかない。
私が性格を改善させて、のろのろした性格になろうとすれば、たしかに一時的にはそうなれることでしょう。
しかし、そもそもの自分の性格はそうではありませんから、すぐ元に戻ってしまいます。
変えるのではなく、ありのままでいいのです。
ありのままを、そのままもっと伸ばしていく生き方でいいのです。
チューリップは、いくらヒマワリになろうとしてもできません。
一方、ヒマワリもチューリップになろうとしてもできません。
しかし、チューリップは、何の努力も必要とせず完全なチューリップになれます。
ヒマワリも、自然にヒマワリになれます。
あなたが自分の性格を変えようとしていれば、今すぐやめることです。
むしろその性格だからこそ、生かしましょう。
映画監督として有名な黒澤明監督は、映画『七人の侍』であるエピソードを語っています。
主役を演じる七人のメンバーは、がさつで荒っぽい演技しかできなかったそうです。
いくら剣の振り方を教えても、うまくできず、がさつな動きしかできません。
あるとき黒澤監督は、がさつを直すのではなく、そのまま映そうと考えました。
がさつで荒っぽいからこそできる、迫力のある演技にしようと考えたのです。
がさつを、欠点ではなく、長所に変えたのです。
すると生々しい演技として仕上がり、迫力が出て、そうして名作となったのです。
まさに、役者たちを変えるのではなく、ありのままを出すことで成功した例です。
性格を変える必要はありません。
自分も変える必要はありません。
あなたは何の努力なしに、完全なるあなたになることはできています。
そんなあなただからこそある「性格」「個性」を生かして、強みに変えてしまえばいいのです。