「ご縁を大切にしなさい」
私のおじいちゃんが生きていたころ、よく口にしていた言葉です。
まだ幼かった私は、その意味がよくわかりませんでしたが、今はその意味が理解できるようになりました。
タネから、花が咲くためには「種だけの力」で可能でしょうか。
いいえ、タネだけでは育ちません。
床の上に、タネを置いているだけでは、いつまで経っても花開くことはありません。
まず、土が必要です。
水も必要です。
もちろん日光も欠かせません。
タネはタネだけでは育たず、そのほかの存在と交わりながらでないと、育ちません。
これを「縁」といいます。
縁とは「結びつく」「交わる」ということです。
出会いを、自分の中に取り入れるということです。
タネは、土と出会うことで、自分の環境を整えることができます。
水と出会うことで、成長できます。
日光と出会うことで光合成ができ、さらに成長します。
時には大雨、大風という厄介な存在も必要でしょう。
大雨、大風を経験することで、しっかり根が伸び、雨や風にも負けない力強い根っこを持つようになります。
人が生きていくときにも、さまざまな出会いが必要なのです。
いえ、むしろ出会いがなければ、種と同じように、まったく育たないのです。
「縁を大切にして生きなさい」とは「出会いを大切にして、自分の中に取り入れて、吸収しなさい」ということです。
出会いを大切にしないと、あるところで成長は止まってしまいます。
タネはタネだけでは成長しないように、あなたもあなただけでは成長しないのです。
人間も、家族、恩師、友人、そのほかの数多くの人と出会うことで、大きく成長するのです。
時には、嫌いな人、苦手な人との出会いも必要です。
そうした出会いによって、あなたの精神的な免疫力が養われ、さらに強く生きていくことができるようになります。
すべての出会いに意味があり、自分のためになっているのです。
すべての出会いは、あなたにとって縁であり、栄養になっているのです。