私は、ときどき、1人で散歩をします。
友人がいなくて寂しいからとか、暇だからというわけではありません。
散歩をしているとき「本当の自分」に戻れるからです。
人間は、生活では、さまざまな自分を演じています。
職業、肩書、服装、身分、場所によって、その場に適した自分を演じます。
あなたが学生なら、学校では学生らしく振る舞うでしょう。
社会人なら、会社では肩書に応じて振る舞うでしょう。
平社員なら平社員らしく、部長なら部長らしく、社長なら社長らしく。
友人なら友人らしく、親友なら親友らしく、先生なら先生らしく。
「らしく」を演じて、一方で本当の自分を隠します。
友人の前では、いい人を演じ、いつも何か仮面をかぶっています。
こうしたことは、生活をするうえで、なかなか避けては通れません。
生きていくことは疲れます。
どれも本当の自分ではありません。
本当の自分はどこへ行ったのでしょうか。
何もしていない、誰とも会っていない、何もしていない瞬間が、本当の自分なのです。
誰かと会うと相手に応じて、自分を変えます。
学生服を着ると学生らしくなり、スーツを着ると社会人らしくなります。
誰かと会ったり、何かを着たりすることで、お面をかぶり、自分を覆い隠すことになるのです。
私は1人で、散歩をします。
近所の周辺を、ぶらぶらします。
気を使うこともなく、焦ることもなく、演じることもありません。
これ以上ないほどの「素の自分」に戻れる瞬間です。
本当の自分に戻ったとき、初めて日常生活を冷静に振り返り、考えたり、反省したり、気づいたりします。
私には、貴重な時間なのです。
あなたは、素に戻れる時間をしっかり取っていますか。