夜空を眺めると、星空が輝いていてきれいですね。
星の天体観測は、星空が見える場所でさえあれば、どこでも可能です。
条件が整っていれば、自宅でも楽しめます。
もちろん普通に星を眺めるだけでも、十分美しさを楽しめますが、さらに感動を高めるコツがあります。
「はるか昔の光」と思って見るのです。
星の輝きは、ちょうど今の光ではありません。
どれもはるか昔の光ばかりです。
たとえば、真北の夜空に輝く動かない星といえば、北極星です。
北極星までの距離は、およそ430光年です。
つまり、今見えているのは「430年前の北極星」「430年前の光」ということになります。
430年前といえば、豊臣秀吉が天下統一を果たした時代に当たります。
430年の長い時を経て、現在の私たちに届いているのです。
冬の大三角形の1つに、オリオン座のベテルギウスがあります。
ベテルギウスまでの距離は、およそ500光年です。
つまり、今見えているのは「500年前のベテルギウス」「500年前の光」ということになります。
500年前といえば、日本では戦国時代の真っただ中です。
500年の長い時を経て、現在の私たちに届いています。
夏の大三角形の1つに、はくちょう座のデネブがあります。
デネブまでの距離は、およそ1400光年です。
つまり、今見えているのは「1400年前のデネブ」「1400年前の光」ということになります。
1400年前といえば、日本では飛鳥時代に当たり、冠位十二階や憲法十七条が制定された少し後のころです。
1400年の長い時を経て、現在の私たちに届いています。
どれもはるか昔の光ですね。
夜空に見えている星のほとんどは、気の遠くなるほど長い時間をかけ、ようやく地球に到達した光です。
奇跡的なことであり、これほど神秘的なことはありません。
これを意識しながら星空を眺めると、見る目が変わります。
「はるか昔の光を見ている」と思いながら眺めると、よりいっそう美しく見えるはずです。
宇宙のロマンを感じるのです。
ちなみに太陽も、たった今の光ではなく、およそ8分前の光です。
太陽から出た光は、8分19秒後、地球に届きます。
つまり、今見えているのは「8分前の太陽」「8分前の光」ということになります。
これはこれで太陽の見る目が少し変わってくるのではないでしょうか。
いろいろな星の距離をチェックしてみるのもいいですね。
星を見る目が変わると、星の感動もアップします。
ぜひ想像力を働かしてください。
天体観測がもっと面白くなり、もっと感動的になるのです。