歴史を振り返ると、天才と言われる偉人には、何らかの趣味を持っていることに気づかされます。
天才物理学者アインシュタインには、バイオリンの趣味がありました。
5歳ごろからバイオリンを始め、バッハ・モーツァルト・シューベルトなど、いわゆるクラシック音楽を好みました。
演奏の腕前も、プロ並みに高かったと言われています。
彼にとってバイオリンはなくてはならない趣味でした。
仕事で行き詰まったとき、バイオリンを手に取り、自由気ままに弾いていたといわれています。
バイオリンでリフレッシュしたり、頭を柔らかくさせたりすることに役立っていました。
モーツァルトは、ビリヤードが趣味でした。
自宅には装飾が施された立派なビリヤード台があり、日頃からよく楽しんでいました。
作曲の合間にはビリヤード台に向かい、キューで玉を突いては喜んだり悔しがったりしていました。
彼は浪費癖があり、たびたび借金を重ねています。
晩年は経済的な困窮に陥り、所有物を売って生活費にあてる暮らしをしていました。
それでもビリヤード台だけは、最後まで売りに出すことはありませんでした。
葛飾北斎の趣味は、引っ越しでした。
生涯で93回も引っ越しをしたと言われています。
1日に3回も引っ越しをしたこともありました。
掃除や片付けが苦手だからという理由もあるそうです。
そうだとしても、なかなか簡単にできることではありません。
引っ越しをするより、掃除や片付けをするほうが楽なはずですが、あえて引っ越しを選ぶところが彼のユニークなところです。
北斎は環境を変えることで、人生のリフレッシュを実現していました。
彼の数々の名作は、引っ越しのおかげと言っても過言ではありません。
新鮮な刺激が得られ、斬新な着想を得ていました。
どれも仕事とはまったく関係のない趣味です。
仕事と無関係の趣味だからいいのです。
もし彼らに趣味がなければ、どうなっていたでしょうか。
アインシュタインは、特殊相対性理論を生み出すことはなかったかもしれません。
モーツァルトは、名曲『フィガロの結婚』を作曲できていなかったかもしれません。
葛飾北斎は、名画『富岳三十六景』を描いていなかったかもしれません。
素晴らしい仕事があるから、趣味があるのではありません。
趣味があるから、素晴らしい仕事ができるのです。
彼らの名作や偉業の数々は、趣味のおかげといえます。
趣味によって、心身のリフレッシュしていただけではありません。
斬新な着想や豊かな発想を得ることにも役立っていたのです。
仕事とは関係していなくても、実は深いところでは関係しています。
趣味には、潜在能力を引き出し、才能を発揮させる力があるのです。