天才絵師・葛飾北斎には、ユニークな趣味が2つありました。
どちらの趣味も、なかなか珍しくて度肝を抜かれます。
1つ目の趣味は「引っ越し」です。
北斎は生涯に93回も引っ越しをしました。
1日に3回引っ越したという記録まであります。
引っ越しとは、新しい環境に移り変わることです。
部屋の中も周囲の環境もがらっと一変します。
北斎は新しい環境に身を置くことで、新鮮な刺激から着想を得ていたのでしょう。
彼にとって引っ越しは、素晴らしい絵を描くために必要な行為だったのです。
もう1つの趣味は「ペンネームの変更」です。
彼は生涯に30回もペンネームを変更しました。
「宗理」「戴斗」「為一」「卍」「画狂人」など、日頃からしょっちゅうペンネームを変更していました。
晩年には「画狂老人卍」というペンネームで活躍していたとのこと。
1回変更するだけでも大変なことなのに、30回とは驚きです。
ペンネームの変更とは、築き上げたブランドを捨てることです。
苦労して築き上げたブランドをあっさり捨てるのですから驚くほかありません。
彼は引っ越しをすることで、過去の自分を捨て、新しい自分に生まれ変わっていました。
新しい自分に生まれ変わり続けることで、どんどん絵を進化させていったのです。
引っ越しといいペンネームの変更といい、これだけ回数が多いともはや趣味です。
北斎は、引っ越しもペンネームの変更も、軽い気持ちで「さあ、やるか」と楽しんでいたのでしょう。
そうしたフットワークの軽さ、そして常識にとらわれない発想が、彼の魅力でもあります。
世の中に趣味にならないことは1つもありません。
大きなイベントも、回数が多いと趣味になります。
私たちも、北斎の姿勢から学ぶところがあります。
大きなイベントは大変と思われがちですが、それは思い込みかもしれません。
引っ越しやペンネームの変更のように、やってみると意外とあっさり実現できるものです。
大変だと思うから大変になるのであって、簡単と思えば簡単にできます。
大きなイベントでも、軽いフットワークと常識にとらわれない発想があれば、趣味にできるのです。