基本的に「効率化」は良いことです。
無駄を省いて効率をよくすれば、スピードが生まれ、物事がスムーズに進むようになります。
時間と体力の節約になり、心にも生活にも余裕が生まれます。
ビジネスでもプライベートでも、効率化が大切であるとうたわれています。
「効率=正義」と信じている人も多いのではないでしょうか。
ここで気になる落とし穴があります。
効率化がすべて正解とは限りません。
注目してほしいのは「効率化によって省かれるプロセス」です。
効率によって多くのプロセスが省かれますが、同時に楽しみまで失われていないでしょうか。
効率化の結果、楽しみまで失われるのは惜しい損失です。
何でもかんでも効率化をしていると、どんどん楽しみが減っていき、人生の豊かさを削ることになりかねません。
人生を豊かにするためには、例外的に効率の悪いことをしたほうがいいこともあります。
たとえば、車を使って旅行する場面があるとします。
近道になると思ってトンネルばかり使っていると、山の景色を楽しめなくなります。
途中の景色も旅行の一部です。
山の景観を楽しみたいなら、トンネルを使わず回り道を通ってのんびりドライブしたほうが、多くの景色を楽しめるでしょう。
子どもの世話を効率よくするため、ヘルパーを雇ってお世話を代行してもらうとします。
子どもの世話の手間暇が減って楽になりますが、同時にわが子と触れ合うも減ってしまいます。
子どもとの触れ合いを大切にしているのであれば、自分で育児をしたほうがいいでしょう。
自宅で効率的に運動したいと思い、ランニングマシンを購入して部屋に設置することがあります。
ランニングマシンを利用すれば効率よく運動できるようになりますが、その代わり外の空気や景色を楽しめなくなります。
外の空気や景色を楽しみたいなら、ランニングマシンに頼らず、きちんと外を走ったほうがいいでしょう。
効率化の正解は、人それぞれです。
自分にとって何が楽しく有意義に感じるかは、人によって異なります。
取り組んでいる効率化が、楽しみの損失につながっていないか振り返ってみてください。
基本的に効率化は良いことですが、楽しみまで減っているなら見直したほうがいいでしょう。
その楽しみが自分にとって特別であれば、なおさらです。
人生では、無駄や遠回りも大切です。
あえて効率の悪いことをしたほうが、豊かになる場合があります。
貴重な楽しみまで失われている現実があるなら、あえて効率化をやめる選択もありです。