私の実家周りは「わんわん」と「にゃあにゃあ」の2つの鳴き声がよく聞こえてくる環境です。
実家では犬を飼い、お隣の家では猫を飼っていたからです。
水口家は全員が犬好きでしたが、お隣さんは猫が大好きだったようです。
お隣さんが飼っていた猫の数も、1匹ではありませんでした。
おそらく最低でも5匹以上はいたと思います。
飼っている猫に、野良猫も混ざっていたので正確な数はよくわかりませんが、とにかくすごい数でした。
昼寝をしていると、実家で飼っているクッピーの吠える声と、お隣で飼っている猫が合唱しているような声が聞こえました。
そんな異様な環境でした。
まだ小学生だった私は、犬も好きでしたが、やはりお隣さんが飼っている猫も気になりました。
隣で飼っていた猫は、ふとした隙に、ときどき水口家の庭に侵入してきました。
「かわいいなあ。頭をなでてやろう」
しかし、多くの猫がいたにもかかわらず、触った経験はあまりありません。
触らせてくれません。
近づくと、すごい勢いで逃げていきます。
敵がやってきたといわんばかりの勢いで、一目散に逃げていきます。
そんなわけで子ども時代は、たくさんの猫がいたにもかかわらず、ほとんど猫を触れなかったという悲しい思い出があります。
しかし、1つ不思議なことがありました。
なぜか父や母が近づくと逃げません。
「なぜ? 自分は嫌われているのか。そもそも嫌われるようなことはまだしていないぞ」
猫が人を見て判断しているかのような態度が悔しくて、今でもよく覚えています。
実のところ、猫は、基本的に子どもが苦手です。
猫に限らず、ほかの動物も子どもを苦手とします。
いえ、厳密に言えば、子どもというより落ち着きのない人が苦手です。
子どもは往々にして、騒がしかったり、突然大声を上げたり、動きが予測しづらかったりなど落ち着きがないからです。
私は子どもだったがゆえに、不器用に近づいて猫を驚かせ、いつも逃げられてしまっていました。
逆に猫が一番大好きなのは、お年寄りです。
お年寄りと猫とはすぐ仲良くなります。
旧友の仲であるかのように仲良く接している光景を見たことがあるのではないでしょうか。
お年寄りの動きは緩やかで落ち着いているため、猫も接しやすくなります。
猫は、一般的に落ち着いた人ほど大好きです。
もし子どもがいるなら、落ち着いて接することを教えてあげましょう。
落ち着きがあれば、子どもでも猫と仲良くなれるはずです。