しつけというのは、言われて覚えて終わりと言いたいところですが、回り道があります。
山あり谷ありです。
多くの人たちは、次のような成長段階に思い当たるのではないでしょうか。
親が子をしつけるときに、次のような段階があることをあらかじめ知っておくと、対応もしやすくなります。
しつけるとき、その3段階とは「従順期・反抗期・反省期」です。
自分の過去と照らし合わせながら、考えてみましょう。
おおむね10歳までの間は、親の言うことを素直に聞いてもらえる時期です。
何でも「はい」と素直に答えます。
世間はまだわからず、頼りになるのは親だけです。
また親に振り向いてもらいたいため、余計に親の言うことを素直に聞いてくれます。
このころの子どもが、一番かわいいのかもしれません。
この10歳までにしつけた行儀や作法は、子どもの人格形成の土台になりやすいです。
10歳を過ぎるころから、子どもは次第に汚い言葉を覚え始めます。
一方でこれまでせっかく覚えてきた行儀や作法を、わざと破り、親の手を煩わせようとします。
10代後半になると、さらにエスカレートします。
ここで今までしつけていた礼儀や行儀が悪くなり、今まで教えていた苦労が水の泡になったかのように思えます。
しかし、大丈夫です。
反抗期がやってきたからと言って、嘆く必要はありません。
反抗期があれば、安心です。
精神発達の過程の1つであり、きちんと子どもが精神的な発達ができている証拠です。
親の言うことに歯向かうのは、自我に目覚め始めているという裏返しでもあります。
いつまでも続くわけではありません。
もうしばらく我慢しましょう。
反抗期を過ぎ、おおむね20代半ばを過ぎ始めたころから、少しずつ子どもの態度に変化が見え始めます。
態度が一転してよくなります。
中学・高校・大学の経験を通して、子どもの経験量は蓄積され、一定量に達します。
すると、多くの他人と自分とを冷静に比べることができるようになります。
このとき、自分が面倒だと思っていた親からのしつけの素晴らしさに、気づき始めます。
ここで一気に反省します。
「自分が間違っていた。幼い時期の親からのしつけは、これほど素晴らしいものだったのか」と、目が覚めます。
親が口うるさかった言葉の奥にある愛に気づきます。
反抗期の自分の身勝手な行動が、乱暴であるほど恥じる気持ちも大きくなります。
一転して、礼儀がよくなります。
個人差はありますが、反抗期に親に強く反抗していたほど強く反省して、態度が急によくなることが多いようです。
すべての人がまったく同じとまではいかなくとも、同じような成長段階を経ているのではないでしょうか。
自分が親になって子どもをしつけるとき、この3段階を覚悟しておくことです。
あらかじめ心に留めておくと、親としても冷静な態度を取りやすくなるはずです。