犬は素早く動くものに反応して、追いかけようとする本能があります。
子どもたちがサッカーボールで遊んでいると、そのボールを追いかけ、飛びかかろうとします。
「そうか。犬もサッカーを一緒にしたいのだな」
いえいえ、違います。
決してサッカーに参加したいのではありません。
動くボールが獲物のように見えているだけです。
素早く動くものを見たとき、狩猟本能が駆り立てられ、追いかけたくなります。
これは野生だったころの名残です。
犬は、人と暮らし始める以前のころ、森や林を走り回って獲物を捕まえていました。
「素早く走るものを見かけたら、獲物だから、とりあえずすぐ追いかけろ」
こういう狩猟本能がインプットされています。
本能であるため、動く物を見たとき、とっさに体が反応してしまいます。
その昔からの名残が現在でも残っており、素早く動くものを見かけたとき、つい追いかけて飛びかかろうとしてしまいます。
もちろん車や子どもは獲物ではありません。
追いかけるという条件反射のようなもので、実際に噛みついてしまうことは、まずありません。
しかし、その「急に走り出す習性」が、意外な危険を作り出してしまうことがあります。
急に動き出した車に反応して、道路に飛び出し、車にひかれてしまうかもしれません。
また、急に走り出した子どもに飛びかかって倒れさせ、けがをさせてしまうこともあるでしょう。
飼い主は、素早く動く物体を見かけたとき、反応する犬の動きを予想して、リードを握り締めるようにしましょう。
犬の習性を理解しながら「その先にある危険」を未然に防ぐのです。