人間は、大人になるにつれて、落ち着きを醸し出します。
なぜ子どもはやんちゃなのか。
なぜ大人は落ち着いている人が多いのか。
それはまさに「経験の差」です。
子どものころは、見るもの聞くもの触れるものすべてが新鮮だったため、一つ一つに過剰に反応してしまいがちです。
しかし、大人になるにつれ、多種多様な刺激に触れて慣れが生じるため、少々のことでは動じなくなります。
この考え方は、犬との生活にも当てはまります。
飼い主と犬との生活が始まると、飼い主には慣れます。
飼い主に慣れるのは大変喜ばしいことですが、大切なことが抜け落ちていないでしょうか。
「飼い主以外の人に慣れる経験」です。
飼い主ばかりとずっと接していると、犬が受ける刺激はワンパターンになりがちです。
声・動き・においなどワンパターンです。
飼い主のパターンにしか慣れていない場合、ほかの人を見るやいなや、吠えたり暴れたりなど過剰に反応することがあります。
ぜひ、飼い主以外の人と接する機会を増やしていきましょう。
飼い主以外の人から餌を与えてもらったり、頭や背中をなでてもらったりします。
最初は、今までとは違う違った触り方やにおいなど、いつもと違った刺激に犬は驚くことでしょう。
しかし、しばらく経つと、次第に慣れておとなしくなるはずです。
そういう人もいる。
そういうにおいもある。
そういう触り方もある。
こうした多種多様な刺激に慣れることで、犬が受け入れられる幅が広がり、落ち着きへと変わります。
犬の成長に必要なのは、飼い主以外の人と接する機会です。
飼い主としては、自分以外の人に慣れるのは、悔しいような気持ちになるでしょう。
しかし、飼い主以外の人と慣れてくれれば、本当は大喜びしていい。
飼い主と接することも大切な成長ですが、飼い主以外の人と接するほうが、さらに成長へとつながるのです。