「最新」という言葉に、どきどきするのは当然です。
今までにない新しい技術、進化、テクニック、サービスは、人々の注目を集めます。
「最新テクニック」という言葉を聞くと、力強いテクニックであるような気がします。
最新を手に入れることで、生活は今までより快適になり、豊かになるような気がします。
しかし、人生を長く生きていると「最新」という言葉は、怪しいという勘がさえてくるようになります。
実際は、最新を追いかけていると、生活が快適になるどころか、低下してしまいます。
市場に出たばかりの商品は、実績が少なく、バグも多いため、トラブルに巻き込まれます。
その結果、仕事の効率がよくなるどころか、悪くなるのです。
最新が登場して1年以上すぎ、もはや最新という言葉が似合わなくなったとき、ようやく熟してきます。
コンピューター業界には「枯れた技術こそ安定」という有名な言葉があります。
新しい技術は実績に乏しく、バグも多いため、仕事が効率よくなるどころか、悪くなる場合があります。
それゆえ、仕事をする際には、古いOS、古いソフトウエアばかりを使います。
大企業の安定した職場では、古いソフトウエアばかり使っているものです。
仕事の効率が悪くなるより、安定したソフトウエアのほうがトラブルは少ないため、仕事が安定して進むのです。
古い技術(枯れている技術)は、長年の実績があります。
発売されたときにあったバグやトラブルは、長年の改良と改善を積み重ね、安定した状態にまで到達しています。
枯れた技術こそ、安定しています。
最新という言葉に踊らされ、新しいものを購入すると、不具合のため、仕事の効率が悪くなるので注意が必要です。
2007年初め、マクロソフト社Windowsの新OS「Windows Vista」が登場しました。
そのとき、私も新しいOSとばかりに飛びついて購入し、失敗した1人でした。
出たばかりのOSは、不具合が多く、仕事が効率よくなるどころか、悪くなりました。
突然、画面が真っ暗になったり、固まったりして、作業を中断することがありました。
最新には、不具合が多い。
1つ古いOSであるWindows XPにダウングレードして、ようやく仕事が安定するようになりました。
今でこそ、笑い話になりますが、当時は泣きそうになったものです。
何十万も高いお金を払って、仕事の効率を悪くさせたわけです。
意味がありません。
お金を捨てたようなものです。
なんと愚かなのでしょうか。
そうした経験をして「枯れた技術こそ安定」という言葉の意味を、痛切に感じたのです。