豊かさという考え方を、少し変えてみましょう。
「物を持つ」という豊かさから「何ももたない」という豊かさです。
物を持つほうが贅沢であるように思われがちですが、一概にそうとも言えません。
物を持つことが逆に、自分を縛り付けてしまっている場合があるのです。
たとえば、ビデオです。
ビデオは、たしかに個人が所有すれば、自由に使えます。
しかし、ビデオは何度見てもなくなることはありません。
たとえ何も録画されていないビデオテープですら、場所をとられ、掃除の手間も増えます。
たくさんのビデオはそれだけあなたに豊かさを与えているように思えますが、ビデオ屋に行けば数多くのビデオが待ち構えています。
あなたが苦労をしてビデオを録画するより、ビデオ屋に行ったほうが手早くて楽なのです。
今、ほとんどの映画が、レンタルビデオ屋に行けば勢ぞろいしています。
テレビで放映される日まで首を長くして待つくらいなら、さっさとビデオ屋に行き、借りてきたほうが効率いいのです。
見たいときに、見ることができます。
見終われば、返せばいいだけです。
ビデオという例をあげましたが、ほかにも当てはまることはたくさんあります。
着物、スキー用品、キャンプセットなど、今は何でもレンタルができる時代です。
これらは、毎日使う日用品ではありません。
1年にほんの数回程度、必要な物です。
常に、部屋の中に保管しておく必要はありません。
部屋に置くとそれだけ空間の自由が奪われ、あなたを縛り付けてしまうことになります。
物を持つことが必ずしも豊かになると限らないとは、こういうことです。
「必要なときに、必要な期間だけ借りる」というスタイルが、今の時代に合った「所有しない豊かさ」です。
所有をしない状態は、実は贅沢な生き方なのです。