あがり症は遺伝なのでしょうか。
「親の性格が子どもに移る」
「身長の高い親からは、身長の高い子どもが生まれやすい」
「運動神経のよい親からは、運動神経のよい子どもが生まれやすい」
「がんの家系では、子どももがんになる可能性が高い」
世間では親から子への遺伝の話がよく聞かれます。
あがり症についても、親から子へ遺伝しそうに思われますが、実際はどうでしょうか。
現在のところ、緊張に関する遺伝子は見つかっていますが、あがり症に関する遺伝子は見つかっていません。
「緊張に関する遺伝子こそあがり症の原因」と主張する専門家もいれば「あがり症と遺伝は無関係」と主張する専門家もいます。
そのため、あがり症と遺伝の関係については、まだ明確な結論が出ていないのが現状です。
ただし、現在のところ医学界では「あがり症は遺伝ではなく、本人の性質や性格によるもの」という考え方が有力です。
あがり症を発症する多くが「後天的要素」といわれています。
たとえば、幼いころから親の考え方や行動習慣を見ているうちに、子どもにも自然と反映された可能性があります。
ささいなことで不安になる親なら、その様子を見ている子どもにも自然と影響します。
また付き合う人間関係からも影響を受けます。
付き合う人間関係に悲観的な考えの人が多いと、自分にも影響を受けやすくなります。
なかでも特に大きな影響を与えるのが「考え方」と「過去の失敗体験」です。
悲観的な考え方が身についていると、精神状態が不安定になるため、あがり症を引き起こすきっかけになる可能性があります。
また過去の失敗体験も影響します。
人前の発表に関して強烈な失敗体験があると、心の傷となってトラウマになります。
似たような状況になったとき「また同じ失敗をするのではないか」という強迫観念が生まれます。
自然と自分を追い込んでしまい、あがり症に発展しやすくなるのです。
あがり症は、後天的要素が強い症状です。
あがり症と遺伝は無関係と考え、自分の努力によって克服することが大切です。