吸い物は、しばらく時間が経つと、沈殿が目立ちます。
みそや具には重みがあるので、上半分は透明になって水っぽくなり、下半分にみそや具がたまってしまうのです。
さすがに、味わいにも大きな偏りが出てしまいます。
こんなとき、箸を使って中身をかき回したくなりますが、マナー違反です。
派手にぐるぐる回すのは、料理で遊んでいるかのように見え、行儀が悪く感じられます。
見方によっては、箸を洗っているようにも見えてしまうでしょう。
そうした誤解を生みやすいしぐさは、最初からしないほうが無難です。
さて、ここが難しいところです。
そのままで飲むと味気ない。
だからとはいえ、かき回すのもいけない。
どうすればいいのでしょうか。
ぐるぐると何度もかき回すからいけないのです。
この場合、口をつける前、円を描くようにさっと1回だけ、箸を回します。
「1回だけ」というのがポイントです。
こうすれば、かき混ぜている様子に見られにくく、同時にみそや具がきれいに混ざります。
かき混ぜた後飲むときには、箸を椀の向こう側に横に揃えて持つと、品がよく見えます。