幼児教育において、初めに心に留めておきたい日本の格言があります。
「3つ子の魂、百まで」です。
3歳ごろまでに受けた教育によって形成された性質・性格は、100歳になっても根底は変わらない、という意味です。
「何て大げさな! 本当に3歳までなのか!」
そう思うでしょう。
正確に3歳までかというと議論の余地がありますが、幼児の時期に人格を形成する基本が出来上がるというのは本当です。
科学的にも証明されている事実です。
生まれたばかりの赤ちゃんは、基本的に未発達の状態で生まれてきます。
1人で立つことも食べることもできません。
いえ、目も見えない状態です。
脳の中の神経細胞は、生命を維持する最小限以外は、ほとんど未発達の状態で生まれます。
お母さんのおなかの中にいたころは、刺激らしい刺激はまだありませんでした。
しかし、生まれた瞬間から、外界からの強い刺激にさらされるようになります。
光・音・におい・暑さ・寒さ・感触などです。
未発達の状態で生まれますが、そうした刺激や環境に適応しようと、脳が活発に活動し始めます。
人の成長において、生まれてから最初の3年間ほど、急成長の時期はありません。
すごい右肩上がりの成長です。
生まれたばかりの赤ちゃんは、目も見えず、歩けず、話もできなかったのに、ほんの3年後には見違えるほどの成長を遂げています。
目が見え、歩けるようになり、話ができるようになります。
自分の思っていることや考えていることまで、はっきり話し始めます。
すごい急成長、急発達ですね。
脳の神経細胞の発達は、生後3歳くらいまでの期間に、急速に発達します。
3歳くらいで、脳内神経細胞のおよそ80パーセントが完成されるといわれています。
急激な成長をする脳内では、脳神経に強く受けた刺激の配線を残しています。
これが「性格形成の原点」と言われます。
「性格はなかなか変わらない」という悩みも、これが理由です。
あなたも、幼いときから性質は大きく変わってはおらず、基本的な部分は今も昔も同じであるという実感があることでしょう。
未発達の状態とはいえ、手を抜けない時期です。
幼児教育は、子育ての中でも最も力を入れる時期です。
最初の3年間こそ、教育に力を入れましょう。