「子育て」と聞くと、注意が子ども一点に集中するイメージがあります。
子どもを育てますから、子どもに対して最大限の注意を払います。
たしかに幼い子どもの教育も大切ですが、子どもしか見ていないのも問題です。
子育ての前に大切なことがあります。
「家族のチームワーク」です。
子どもを育てるには、父も母もそれぞれの主担当をきちんと全うすることで、家族全体がうまく回ります。
ときどき、父親に無理に子育ての協力をさせようとする母親を見かけます。
「あなたも子どもの面倒を見てよ」
「子育てを手伝って」
「子育ては父も参加しないといけないでしょう!」
父ができるかぎり育児に参加するのは、素晴らしいことです。
母のみならず、父も子育てに参加したほうが母親の負担も減りますし、子どもにとっても嬉しいことです。
ただ、仕事でどうしても疲れがたまっている父親です。
子育てができないくらい、力も余裕もない場合もあります。
父は、自分の生活費だけでなく、母親と子どもの生活費を稼ぐため、朝から晩まで働いています。
2世帯住宅なら、祖父や祖母の生活費まで稼ぐ必要がありますから、余計に責任を重く感じていることでしょう。
つらい上司からの指示を断りたくても「家がある。妻がいる。子どもがいる」と思い、逆らえません。
少々厳しい上司からの指示にも従いますし、会社を休みたくてもなかなか休めません。
雨が降っても風が吹いても、頭痛がしても、やる気が出なくても、今日も朝早くに会社へ向かいます。
そういう大きな責任を背負っているがゆえに、男とはいえ、ひどく疲れがたまります。
本音としては「休日くらいはゆっくりさせてほしい。でなければ体がもたない」と思います。
母ばかりが子育てをして、父は子育てにまったく関与していないように見えますが、違います。
父は、生活費を稼ぐという大事な仕事をしています。
直接、子どもには関係しなくても、間接的に接しています。
体力に余裕があればいいですが、疲労が限界に達しているにもかかわらず、無理をするのも問題です。
むしろそれで体を壊して、生活費を稼げなくなるほうがもっと困ります。
「家族とはチームワーク」
いま一度、思い出してほしい言葉です。
家族の中で「役割分担」を、まずはっきりさせることです。
チームを構成するにあたり、それぞれの役目を決めます。
父は稼ぐために働きに出て、母は家で家事や育児というそれぞれの主担当をはっきり決めておきます。
父は家族の稼ぎの主担当。
母は、家事と育児の主担当。
それは差別ではありません。
きちんと「家族」という大きな船を運航していくための役割分担であり、チームワークです。
まず、自分の主担当を全うするのが最優先です。
そのうえで余裕があれば、副担当へと手を回せばいい。
もし父に余裕があれば、母を手伝い、家事や育児の協力をしたりすればいい。
もし母に余裕があれば、父を手伝い、アルバイトで出稼ぎに出たりすればいい。
家族全体のバランスを整えるのです。