叱るタイミングは、ミスをした瞬間に叱ることです。
「後からまとめて指摘すればいいか」と思う人もいるでしょう。
ミスをしている部分が多いと、そのたびに指摘しなければいけなくなります。
たしかに手間がかかり、面倒だという気持ちはわかります。
私も仕事中に部下と接しながら、試行錯誤を繰り返しました。
結論から言えば、特別な理由がないかぎり、ミスをした瞬間に指摘するのがベストです。
そうである理由は3つあります。
まず1つ目の理由は「叱る側が言いやすいため」という理由です。
ミスをしていますから、そのタイミングで指摘するのが最もスマートです。
仕事をしている途中で言われますから、具体的なタイミングを伝えることができ、ミスの指摘もしやすくなりますね。
もし、後からまとめて指摘事項を報告しようとすると、実は「余分な仕事」が発生します。
「タイミングの説明」という余分な仕事です。
「どのタイミング」で「どんなミス」を犯したかを説明します。
初めに「タイミングの説明」から始めなければならず、苦労します。
また、タイミングの説明とはいえ、なかなか難しい。
タイミングの説明でうまく伝わらなければ、次に仕事をするとき、さらにミスを犯してしまいます。
しかし、ミスしたタイミングですぐ指摘する場合「タイミングの説明」を省けます。
まさにそのタイミングですから「違うよ」と一言言えば、説明が「指摘」だけですみます。
したがって、叱る側が言いやすくなります。
続いて2つ目の理由は「叱られる側が吸収しやすくなるため」です。
ミスをした操作をしているときに「違うよ」と言われると、正しい進め方を教えてもらえれば、すぐ吸収できます。
仕事中は緊張しているので、指摘が頭に入ります。
仕事中の緊張感を利用するのがベストです。
もし仕事が終わった後になると緊張の糸が切れているので、ぼんやりして指摘も頭に入りにくいです。
さて、以上2つの理由はまだ茶番です。
実は最後の3つ目の理由こそ、ミスした瞬間に指摘する真の意味です。
それは「安全のため」です。
ミスをしていますから、その場ですぐ言ったほうがいい。
すぐ言わないと、後になるほど亀裂は大きくなり、改善が大変になります。
場合によっては、手遅れになるケースさえあります。
たとえば、手術中です。
間違った手順で進めていれば、その場ですぐ指摘しなければなりません。
知っていてほったらかしにするのは、患者の命に関わります。
間違ったやり方をしているのに、後からやり直すというわけにはいきませんね。
間違ったことをしているなら、誰であろうとその場ですぐ指摘するのが一番です。
場合によっては手遅れにさえなりかねない。
以上3点の理由から、叱る場合にはミスした瞬間に叱るのがベストなのです。