叱るのは面倒です。
叱るような場面をできるだけ作りたくない。
そこで上司は仕事をする前に、部下にこう言います。
「これは大事な仕事なんだ。絶対間違えるな。絶対に失敗するな」
部下が間違えさえしなければ、上司も叱ることはありません。
上司は叱るのが面倒だし、シチュエーションも嫌なので「とにかく間違えないでくれ」と言います。
たしかに大切な仕事だからこそ、間違いがなく失敗してほしくない気持ちはわかります。
そう思っても、そういう指示を与えないほうがいい。
往々にして、実は逆効果になってしまうからです。
「絶対に失敗するな」と言われると、部下は緊張します。
「絶対に」がつくような圧迫感のある言い方は、強い緊張感を与えるため、余計に失敗しやすくなるからです。
しかもこういう言い方をされると、不思議なことに人間は失敗しているところを考えるようになります。
自分が大失敗を犯して、上司に大目玉を食らっているところを想像してしまいます。
「家が火事にならないように」と考えるとき、自分の家が火事になっているところを想像してしまいますよね。
「恋人に振られないように」と考えるとき、恋人から振られているところを想像してしまいますね。
それと同じです。
するなと想像したことは、そうなるようなイメージを膨らませてしまいます。
想像したことが現実になってしまいます。
上司から「絶対に失敗するな」という言い方をされると、部下は自分が失敗しているところを想像してしまいます。
「絶対に間違えるな。失敗するな」という言い方は、しないほうがいいのです。