テレビ番組の中で、東京大学出身の弁護士が、学生時代の話をしていました。
東京大学といえば、日本で最も合格が難しく、最難関の大学です。
当然、東京大学に合格する生徒は、日本屈指の「勉強のできる人」です。
弁護士になるためには、さらに難関があります。
「司法試験」という、日本で最も難しい国家試験に合格しなければいけません。
2年間の勉強は当たり前、人によっては合格までに10年以上かかるという人もいるようです。
弁護士になっている人は、みんな、司法試験に合格することが必須です。
そんな東京大学出身の弁護士が話していた、学生時代の勉強法で印象的だった内容がありました。
「授業中にノートを取ったことがない」という話でした。
一切ノートは取らずに勉強し、最も合格が難しい東京大学、最も難しいとされる司法試験にも合格して、弁護士になっていました。
番組の司会者は腹を抱えて大笑いし、会場のほかの視聴者も「信じられない」という様子でした。
完全に冗談で言っている、という雰囲気が漂っていました。
しかし、勉強効率の面から考えると、当然の方法です。
むしろ、それこそ本当に勉強をしている姿です。
さて、話は変わって、次に私の高校時代のあるクラスメートについて紹介します。
高校3年のとき、同じクラスに一生懸命に勉強しているにもかかわらず、成績の上がらない男の子がいました。
授業中は、先生が黒板に書く文字を一生懸命にノートに書き写します。
毎日、家で2時間は勉強していると言います。
私は彼と同じクラスだったので、彼の真面目な性格から嘘を言っている様子はありませんでした。
しかし、……、彼の成績は一向によくなりませんでした。
私より一生懸命に勉強している彼のほうが、私より成績が悪いのです。
どんな勉強法をしているのか聞いて、その理由がわかりました。
彼が言っている勉強とは「教科書をノートに書き写していること」でした。
彼が勉強していると言っている2時間は、実は教科書に書いていることをノートに書き写している時間のことでした。
ノートにたくさん字を書けば、いつの間にか理解して覚えることができ、勉強だと思っているようでした。
私は驚きました。
それは、まったく勉強ではありません。
文字のお稽古です。
本当の勉強とは「理解して記憶すること」のことを言います。
物事を噛み砕いて理解し、頭に記憶するのが、勉強です。
教科書をノートに書き写す作業の中には、理解も記憶もありません。
いつまでも成績が上がりません。
一方、授業中まったくノートを取らないという東大出身弁護士の話は、その逆です。
授業中に何をしていたのかというと、先生の話を必死で理解し、内容を記憶すること一点に努めていたのです。
成績がよくなりました。
「ノートに書くだけの1時間」と「記憶するための1時間」は、質が全然違います。
前者は「文字の稽古の1時間」であり、後者こそ「勉強の1時間」です。
あなたの勉強法を見直しましょう。
成績の悪さのほとんどは、頭が悪いのが原因ではなく、勉強法が悪いことが原因です。
勉強ができるのは、頭の善しあしではなく、勉強法の善しあしです。
正しい勉強法で勉強すれば、頭の善しあしは関係なく、必ず成績は上がるはずなのです。