一般的に家庭内には「父としての役目、母としての役目」というのがあります。
「これは父がするものだ。これは母がするものだ」という取り決めです。
しかし、これはあってないようなものです。
幻です。
一般的にそういう考えがあっても、法律によって決められているわけではありません。
いつの間にか、そういう常識にとらわれて、型にはまった生き方しかできなくなっています。
むしろ、そういう考えにとらわれず「思い切って立場を逆転させてみる」という発想が、気の利く人になるために必要な要素です。
立場を逆転させてみると、思わぬ効果があります。
私の家庭では、父と母が立場を交代するという光景をよく目にします。
父が母のようになり、母が父のようになります。
たとえば、料理をするときには、ときどき母の代わりに父が料理をします。
母も、父の代わりに車の運転をすることがあります。
「お互いの立場を逆転させる」ということです。
父と母が、一度お互いの役目を交代すると、より夫婦の理解は深まります。
父は母の立場になったとき「料理って大変だな」とわかるようになります。
母が父の立場になったとき「車の運転は気を使うから大変だな」とわかるようになります。
相手の立場を頭で考えるだけでなく、実際に体験してこそ、わかることがあります。
立場を交代すると、次からは「気の利いた行動」ができるようになります。
一度、自分が相手の立場になって仕事をしたことがあるからです。
父は母を理解できるようになり、母も父が理解できるようになります。
立場を交代することで、お互いが助け合えるだけでなく、理解し合えるのです。
そのうえ、相手の気持ちを読むことができるようになり、気の利いた行動ができるようになります。
私は職場でも、ときどき「立場を交代させる環境」を作るようにしています。
立場を交代するという発想は、重要です。
慣れていない人が仕事をするのは、一見効率が悪いのですが、お互いを理解し合うという意味では、重要な意味があるのです。
相手の大変さがわかれば、優しく接することができるようになり、人間関係も向上するのです。