今は、飽食の時代です。
食べるものに困っていた戦後の時代とは違い、食べ物があふれる時代となりました。
昔は、食事があれば十分でしたが、今ではどのレストランも、質の高い料理を、素早く提供することができるようになりました。
これが何を意味するのかというと、ほかのレストランと差別化しにくくなったということです。
どのレストランもおいしい食事を提供してくれます。
近場のレストランで食事を済ませようという基準になります。
これは昔の発想です。
これからは、レストランは食事以外の部分で差別化を図る時代になりました。
では、何にこだわるのかというと「雰囲気がいい」という部分です。
うまく言葉で表現できない部分で、勝負しようとします。
店の中は雰囲気がよく、落ち着き、いつまでもいたいと思うところに人が集まり、繁盛します。
それは、ささいな心遣いです。
その一例を紹介します。
気の利くレストランは、あなたが入店したとき「おタバコ吸われますか」とは尋ねません。
「禁煙ですか。喫煙ですか」と尋ねます。
さて、なぜかわかるでしょうか。
「おタバコ吸われますか」と尋ねてしまうと、禁煙者は「吸いません(すいません)」と謝ることになるからです。
一昔前までは、特に気にしなかったポイントですが、競争の激しい最近のレストランでは、この違いに対応するようになりました。
店員に謝らないと禁煙席に座れないというのも、おかしな話です。
「すいません」と禁煙席を希望したお客は「タバコを吸わないのに、なぜ謝らなければならないんだ。感じが悪いな」と思うのです。
第一印象は大切です。
入店して早々、店員に謝らなければ禁煙席に座れないのでは、イメージが悪くなります。
第一印象が悪くなれば、店の人、メニュー、食事まで、すべてが悪く見えます。
こういうちょっとした違いが、その店の雰囲気に変わります。
「おタバコは吸われますか」という言葉には、注意が必要なのです。