直感とは、過去にたくさん経験したことが脳の奥深くにしまいこまれている潜在意識です。
直感という言葉は曖昧ではありますが、単純な話をすれば、自分の過去の経験からはじき出される感覚にすぎないのです。
直感力を磨きたければ、単純な話、いろいろな経験をたくさんすればいいのです。
たくさん経験をすればするほど、直感もより確実になります。
いろいろな経験をすればするほど、直感が働く場面も多くなります。
人生のいろいろな局面において、より良い選択ができるようになります。
お年寄りたちの言葉が、機知に優れているのは、長く生きた分だけたくさんの経験をしてきているからです。
私も、つい先日面白いことがありました。
付き合っている彼女と一緒に本屋に行き、本を買ったときのことです。
彼女がコンピューターについて勉強したいとのことで、彼女もパソコンについての本を買っていました。
どんな本を買ったのか私に見せてくれたのは、彼女がすでに本を買った後のことでした。
「私もパソコンの勉強をしようと思って、こんな本、買ったよ」
自慢げな表情をして見せてくれました。
私はその本を手に取って、ぱらぱらとページをめくったとき「あっ! 彼女はこの本を読めないな」と直感が働きました。
まだ本を読む前であるにもかかわらず、直感的ですが、彼女はおそらく本を読み切ることに挫折するであろうことを予知したのです。
その本はページいっぱいに字が詰まっていて、専門用語が使われていて、そのうえ字が小さい本だったからです。
彼女は普段から忙しい人で、ゆっくりページをめくる暇もないだろうという考えが、その場で一瞬として私の脳を駆け巡りました。
その瞬間、彼女の未来が見えたような気がしました。
「なぜ買う前に一言、俺に相談してくれなかったの。ぴったりの本を選んであげたのに」
私はため息交じりで、つい言ってしまいました。
「この本、きっと読み切れないよ」と言うと「え、なぜそんなこと言うの。せっかく買ったのに」と言っていました。
後日「あの本、読んだ?」と聞くと「まだ読んでない。読む暇がない。内容もわかりにくいし……」と言い訳をしてきました。
私の直感は当たりました。
別に私は占い師でも予言者でもありません。
私は、今まで多くの本を読んできて、面白くて楽しい本だけでなく、面白くない本やつまらない本にもたくさん出会いました。
その分「なんとなく」ではありますが、本をぱらぱらとめくるだけでどういう本なのか、かなり鋭い直感が働いてしまいます。
それに彼女の性格が加算されて、結果として「この本は彼女には合わない」ということがわかってしまったのです。
嫌な経験や悪い経験も、まんざら悪いことではないのです。
今後、嫌な経験を未然に防ぐために働く直感を磨くことだと考えれば、つらい経験も後から生きて来るのです。
心に残るようないい経験だけでなく、忘れたいような嫌な経験も、実は人生の中では大切な経験として生きてくるのです。
たくさん経験を積むというのは、これからをよりよく生きるために活用できる知恵を磨く、大切なことなのです。