あがり症の人は、いきなり大勢の人前で発表してはいけません。
むしろ禁止です。
あまりに精神的ストレスが大きく、失敗体験を増やす結果になりやすいからです。
「あがり症の克服には場数が重要」と言われます。
もちろん場数が重要なのは事実ですが、場数だけでは不十分です。
成功体験も必要です。
場数と成功体験の両方があって、あがり症が克服できます。
薬物の力を借りる方法もありますが、効果は一時的であり、根本的な治療にはなりません。
薬だけであがり症を完治するのは、現在のところ不可能です。
根本的に治すなら、やはり場数と成功体験に勝るものはありません。
では、成功体験を積み重ねるのはどうすればいいか。
まず少人数の人前から経験していくことが大切です。
最初から大勢の聴衆の前で発表するのではありません。
いきなり大勢の前で発表するのは、ベテランでも緊張します。
最初は、1人の聴衆の前から始めましょう。
聴衆が1人だけなら、心理的な負担が軽くて済みます。
緊張も不安も小さくて済むため、発表が成功しやすくなるでしょう。
もし失敗したとしても、精神的ダメージも落ち込みも小さくて済みます。
慣れてくれば、3人・5人・10人と、段階的に増やしていきます。
すでに失敗体験によるトラウマがあったとしても、成功体験の数を増やすにつれて「記憶の書き換え」が起こります。
いわゆる、上書き保存です。
成功体験が失敗体験をかき消していき、トラウマが小さくなっていくのです。
こうすれば、たとえ大きなトラウマがあったとしても、あがり症を克服できます。
薬物療法と平行して行えば、ますます効果が高まります。
時間はかかりますが、最も確実な方法です。