時間は前にしか進みませんが、人生では、時には後戻りしなければならないときがあります。
前に進むだけが人生というわけでなく、時には立ち止まって、後戻りをすることで、よい結果が生まれてくることもあるのです。
私は高校卒業後、大学受験に失敗し、浪人をしていた時期がありました。
浪人は、大学に受からなかった人が、来年の大学受験のためにもう1年勉強することをいいます。
私の場合は「自宅浪人」と言って、自分の家で勉強をするというスタイルを取っていました。
普通は浪人をすれば、予備校という専門の学校に通い、大学受験のために猛勉強をします。
しかし、私は、家で勉強をしますから、起きる時間や寝る時間など自由である代わりに、すべての責任が自分に返ってきました。
私にとって、この浪人時代は、周りから見れば立ち止まっていたように見えていたはずです。
ほかの人はうまく大学に進学し、どんどん前に進んでいるというのに、自分だけはまだ大学にも合格せず、立ち止まっている。
それどころか、過去の復習ばかりをして、後戻りをしているのかとさえ感じてしまっていました。
しかし、それらの「不安」のおかげで、私は自分のことをあのときほど真剣に考えたことはありませんでした。
「自分は何のために勉強しているのか」
「何のために大学に行こうとしているのか」
「何の仕事をしたいのか」
「何のために生きているのか」
自分で自分を見つめる時間を多く持つことができ、立ち止まっていながら、結果として自分の成長は大きく促されました。
このように、文章を書くことができているのも、浪人時代にたくさん考えた分、表現することができるようになりました。
前に進むだけが人生と思われがちですが、あながち、そうとも限らないのです。
時には立ち止まって、時には後戻りすることも、必要なときがあるのです。