「批判」と「中傷」という言葉があります。
批判と中傷は、それぞれ意味が似ているように感じますが、実際は異なります。
批判とは、物事の真偽や善悪を根拠にして、厳しい意見を言うことを言います。
中傷とは、事実でない悪口を言いふらして、他人の評判や功績を傷つけることです。
決定的な違いは「根拠があるかどうか」です。
批判は根拠があって悪く言いますが、中傷は根拠なく悪く言います。
国会では、批判は許されますが、中傷は許されません。
国会で著しい中傷があった場合、名誉を傷つけられたとして、法的な話に発展することがあります。
しかし世の中には、批判と中傷の区別していない人がいます。
たとえば、テレビで活躍している人気アイドルを見て、中傷する人がいます。
「こんな中身のない歌を聞いて、誰が喜ぶのだろうか。迷惑だ。早く消えてほしい」
それは根拠がありません。
自分はひどい歌だと思うかもしれませんが、一方で多くの人が元気づけられて、生きる勇気をもらっていることでしょう。
根拠なく、一方的に罵っているだけです。
そういうことを言うほど、自分に跳ね返ってきます。
自分がいつも根拠なく悪く言っていると、世間とは、根拠なく悪く言う人たちであふれているものだと感じるようになります。
自分が行動したときも、根拠なく悪口を言われるだろうと恐れます。
世の中が悪く見えるようになります。
その結果、生き方が卑屈になり、実りの少ない人生になるのです。
いま一度、批判と中傷の区別をしたいところです。
自分が口にする言葉を振り返ってみましょう。
口にする悪口に、根拠があるでしょうか。
批判のつもりが、中傷になっていませんか。
批判は、状況によっては役立ちますが、中傷はどのような状況でも、役立ちません。
人生において、批判はあっていいですが、中傷は必要ないのです。