給仕が近づいて運ばれるの料理の中に、なにやら不思議なものがあります。
水の入った銀の器です。
テーブルマナーについてまったくの初心者なら「なんだろう」と思うでしょう。
これは「フィンガーボール」と呼ばれる器です。
水が入っているからとはいえ、飲むものではありません。
水と間違えて飲んでしまうと、大恥をかくので要注意です。
これは食事中、汚れた指先を洗うために用意されたものです。
たとえば、エビ・カニなどの甲殻類やデザートの果物など、手で食べるのが前提の料理があります。
多少の汚れはナプキンを使えばいいのですが、手でつかんで食べる都合上、ナプキンでは追いつかないことがあります。
しかも、エビ・カニ・果物などは、独特のべたつきがあります。
ナプキンを使ったとしても、べたつきまではなかなか取れないものです。
そこで汚れやべたつきをきれいに落としやすいよう、手を洗うための専用の器が、あらかじめ用意されるのです。
逆に考えれば、フィンガーボールと一緒に出てきたものは、素手で食べてもいいというサインでもあります。
そう考えると、ほら、わかりやすいですね。
フィンガーボールの水の中には、指先のにおいを消すため、レモンを浮かべている場合もあります。
レモンまで浮かべているレストランは、配慮の行き届いたレストランです。
フィンガーボールの使い方は、片手ずつ、指先を浸します。
片手ずつフィンガーボールの水に浸し、指先を軽くこすり合わせながら、汚れを落としていきましょう。
両手を同時に浸すのは、焦っている様子があり、マナー違反になるので注意です。
濡れた手は、ナプキンを使って拭いて終了です。