子どもは日常生活の中で、強く興味を引かれるものを発見することがあります。
興味を引かれた子どもは、素直に「やってみたい」と言います。
その際、矛盾が発生しやすい状況があります。
「あれ、やってみたい」という子ども。
「まだ早すぎるからいけません」という親。
そんな会話に、心当たりはありませんか。
子どもがやってみたいことを、拒む親がいます。
理由はさまざまです。
「まだ子どもだから無理」
「どうせ長続きしないだろう」
「万が一のことが心配だ」
親はとっさに「まだ早すぎます」と言って、子どもの要求をはじいてしまいます。
もし大きな危険が伴うことなら、たしかに避ける必要があるでしょう。
私は昔、チェーンソーで木を切っているところに興味を引かれ、親に「自分も使ってみたい」と言いました。
「危ないから絶対ダメ」と固く否定されたことがあります。
万が一、間違った使い方をすれば、取り返しのつかないことになりかねません。
親の言い分もわかります。
しかし、危険なことではないなら、できるだけ子どもの意思は尊重させてあげることが大切です。
興味を持てば、できる範囲のことからやらせていけばいい。
たとえば、5歳の子どもが「ピアノを弾いてみたい。ピアノ教室に通いたい」と言い始めたとします。
ピアノは、間違った使い方をしても、大けがをすることではありません。
親としては、鉛筆で自分の名前すらまだきちんと書けないのに、ピアノなんてとうていひけるはずがないと思います。
たしかに早い段階でピアノを習っても、曲がひけるのはまだ先のことになるでしょう。
しかし、それでもいい。
まだ、初めから曲がひけなくても、キーを押すと音が奏でられる楽しみから始めさせればいい。
楽しみながら指先を動かす機会が生まれ、次第に手先が器用になります。
手先が器用になってからピアノを習わせるのではなく、ピアノを習わせるから手先が器用になります。
その中で、音楽に対する何らかの才能や適正を見いだす可能性もあります。
たとえ5歳からでも、子どもがピアノを習いたいと言い始めれば、ベストタイミングです。
大切なことは「今、子どもが興味を示している」ということです。
子どもが早い時期に興味を引かれることを発見し、やりたがろうと積極的になっていますから、歓迎しなければなりません。
「いいよ」と言って、行動を促すのか。
「まだ早すぎる」と言って、行動を妨げるのか。
ここで、子どもの成長の行く末がわかれてしまうのです。