子育てには、子どもに言ってはいけない禁句があります。
「ダメな子」です。
子どもが失敗をしたときに「何てことをするの! ダメな子ね」とひどく叱る親がいます。
ダメな子という言い方をされると、子どもは自分の人格を否定された気分になります。
最初は誰でもわからないことだらけです。
失敗しない子どもなんて、聞いたことがありません。
子どもは、失敗のプロです。
親は子どもの失敗に対して、寛容になる姿勢が求められます。
子どもには「ダメな子」とだけは、言わないようにしましょう。
「ダメな子」では、子どもの人格を否定してしまうことになります。
代わりに「それでいいんだよ」と言えばいいのです。
「それでいいんだよ」という言葉は、肯定する言葉です。
失敗しても「それでいいんだよ」と一言言われるだけで、許された気持ちになれるのです。
私は、車の免許を取るときに、最後の卒業検定の実技で落ちてしまいました。
それまでは、ずっとストレートで車の試験に合格していたのに、最後の最後で落ちてしまいました。
一生懸命に勉強し、それも真面目にやっていただけに、大きなショックを受けて落ち込んでいました。
私が落ち込んだ様子で、実技で落ちてしまったことを母に話すと「そうそう、それでいいんだよ」と言われました。
母は優しい顔で、こう続けて言いました。
「ストレートで合格したら、調子に乗って車を運転してしまう。何回も失敗を味わいながら、練習するほうがいい」と言いました。
私ははっとしました。
この一言に、私は一気に救われました。
母は、車を運転するのが苦手な人です。
母も私と同じように、免許を取るときに苦労した分、私の気持ちがわかるのでしょう。
母は私のことを理解しているだけでなく、私の失敗をも受け入れてくれます。
そんな母を、私はさらに尊敬してしまいます。
私の母の哲学は「失敗をしなさい」ということです。
私は小さいころから、たくさん失敗をしましたが、いつも母の失敗を受け入れる優しさに何度も救われてきました。
失敗して、叱られてやる気はなくなっても、許されてやる気がなくなることはありません。
「それでいい」という母の前向きな失敗を受け入れる姿勢が、いつの間にか私にも移ってしまったようです。
その後、私は無事に、実技にも合格し、今は運転免許を持っています。
車の免許を取るときの失敗は、今となっては母の優しさを知った思い出の1つになっています。