チェーン店でよく採用されているのが「ポイント制」です。
商品を購入するごとにポイントが貯まり、ポイントに応じて商品を交換できる仕組みです。
典型的な例でいうと「1ポイント1円」です。
1,000ポイントたまれば、1,000円の商品を購入できます。
ポイントが貯まればたまるほど、高額の商品と交換できるようになり、お得感があります。
ここが、売る側のうまいところ。
流れを追って説明します。
10,000円の商品を買います。
10,000円の10パーセント分がポイントになるとすれば、1,000ポイント(1,000円分)です。
つまり、1,000円もらったのと同じです。
ポイント1,000を使って1,000円の商品と交換すれば、無料で商品を手に入れられ「得をした」と思います。
お金を一銭も出さずに、1,000円分の商品を購入できれば、誰でも得をしたと思います。
しかし、ここが勘違いです。
ポイント制は、店側にお金を預けている状態にすぎません。
10,000円の商品を購入し、そのうち1,000円を預けている状態です。
お金を預けた代わりに「ポイント」という名の債券を、債権者である消費者が受け取る仕組みです。
1,000ポイントが発生するとは、1,000円分の債券を手に入れたと思えばわかりやすいことでしょう。
店側は、そもそも9,000円で売れるところを、少し高めに価格を設定します。
「少し高いけど、ポイントが貯まって交換できるなら安い」
高ければ売れにくいと考えがちですが、ポイント制度があるため、消費者はむしろ得をする感覚のほうが強くなります。
少しだけ高めに商品を購入させて、店側にお金を預けさせ、ポイントという債券を消費者に発行します。
ある日、預けている金額を商品として還元しているだけです。
結論から言いますと、消費者は得をしていません。
むしろ損をしていると言っていいでしょう。
なぜ損をしているのか。
続いて、損をしている説明をします。
ポイント制は債券であり、ポイントという債券がある程度たまれば、お金を商品として交換して還元する仕組みです。
店に預けておいたお金を返してもらうだけですから、得はありません。
忘れてならないのは、お金を店に預けている間は、お金が増えることはありません。
銀行なら利子がつき、預けている間、少ないながらもお金が増えます。
しかし、店にお金を預けている間は、無利子でお金を預けているのですから、まったく増えないのです。
この手法のうまいところは、消費者を得した気分にさせられる点です。
ポイントが貯まれば、後からそのポイント分の商品を交換できるので、得をした気分になります。
「もっとポイントを貯めたい。そうすれば高額の商品を交換してもらえる。だからもっと商品を購入して、ポイントを貯めよう」
購入意欲に拍車がかかり、勢いで不要なものまで購入します。
最後に、最も店側が期待しているのは「消費者の囲い込みができる」ということです。
店のポイントカードは、その系列のお店でしか使えません。
ですので、ほかのお店で買うような浮気はしなくなります。
ほかのお店で買うと、せっかくたまっているポイントが使えないため、使えるお店で買おうとします。
買えば買うほどポイントが貯まりますから、商品を買うなら、その系列のお店でたくさん買おうと思います。
だから消費者を囲い込むことができ、店側の売り上げもその分アップします。
お金を無利子で貸しているポイント制には、まったく得はないのです。
得があるのは、売る側だけ。
購入する側には、得をしているような錯覚を起こさせているだけです。
私なら、むやみにポイントは貯めず、すぐ使います。
貯めても無利子なので、お金が増えないのですから、貯めても意味がありません。
あなたも「ポイント制」に騙されていないでしょうか。
お店も、資本主義の中でお金のやりくりをして商売しています。
お客に無料でお金をあげるようなうまい話は、最初からないと思うことです。