「慣れることはいいことだ」
一般にはそう思われがちですが、実際のところ、そうとも限りません。
実際のところ、慣れには「いい面」と「悪い面」があります。
いい面といえば、慣れることで速く正確に、物事が行えるということです。
慣れは、速さを生み出し、正確さも兼ね備えます。
一方、悪い面といえば、マンネリ化して新鮮味が失われ、だらだらしてしまうことです。
緊張感がなくなり、気持ちに緩みが出てしまうことです。
恋愛に例えればわかりやすいでしょう。
相手と長く付き合っていると、性格や趣味がわかってきますから、やりとりがスムーズになります。
相手が喜ぶプレゼント、言葉、映画の種類などが、手にとるようにわかります。
とはいえ1年以上も付き合いが続くと、さすがに新鮮な気持ちはなくなり、マンネリとなります。
マンネリとなっては、付き合い当初のどきどきも薄れます。
慣れは、人間をさびつかせてしまいます。
「恋愛では、3年目が勝負」といわれるのは、そうした熟知と慣れとのバランスによるものです。
慣れてきたところで、さらに関係がうまくいくか、それとも浮気心が出て、ほかの人へ目が向いてしまうかです。
人生は、後になるほど、慣れが多くなります。
10代20代のころは初体験ばかりでしたが、60代70代になると経験したことのある出来事ばかりになります。
同じことを繰り返している毎日と感じるようになるでしょう。
おじさんおばさんくらいになれば、日常の出来事に関して、たいていのことで驚くことはありません。
「またか」
「いつものあれね」
「それなら知っているよ」
慣れは、心のさびです。
慣れが多くなればなるほど、心にさびができてしまい、どきどきすることがなくなります。
感情の歯車が回りにくくなり、鈍感になります。
そんな心のさびを落とすためのよい方法は「初体験をすること」です。
初体験ほど、目の覚める経験はありません。
たとえ高齢になっても、経験のないことは必ずあるはずです。
初体験は、心を若返らせ、さびを取り除いてくれる効果を持つのです。
年を取るにつれて、初体験を生活の中に取り入れましょう。