自分が捨てようとすると、なかなか捨てられないものです。
特に思い出が詰まった物であればあるほど、捨てにくい。
持っていた本人であるだけに思い入れがあり、必要ないとわかっていても、気持ちが残っているために捨てられないのです。
こういうときは他人に捨ててもらえると、あっさり捨てることができます。
他人なら物に対する思い入れがないため、ためらうことなくぽいとできるのです。
部屋の掃除が得意な私の母は、私が小中学生のころ、学校に行っている間に頼んでもいないのによく部屋の掃除をしていました。
私が学校から帰ってくると部屋にあった物がなくなっていて、きれいさっぱりしています。
中には私が大切にしていたおもちゃまで捨ててしまっていたりします。
「なぜ捨てたの!」と叫んでしまいましたが、母に「もう捨てたからない」と言われると私もどうしようもありません。
しかし、不思議なことに大切にしていた物でも、なくなってからわかったのですが、困りません。
むしろ「また新しいのを買おう。今度はもっといい物を買おう!」と前向きになります。
思い入れが強い物だったので自分では捨てられませんでしたが、母にはごみとしか映っていなかったようで捨てられてしまいました。
部屋の掃除というのは、自分ではなくほかの誰かにやってもらったほうが、よほどきれいになる場合があります。
「いつか使うかもしれない」と思って取っておいていた物も、不思議なことに捨てた後では、必要になる瞬間はやってきません。
「捨ててくれてよかった。これですっきりした」と思うことのほうが多くあるくらいです。
自分では踏ん切りがつかず捨てられなかったのですが、他人には踏ん切りも必要ないのでごみ捨てをしやすいのです。
大切な物や必要な物であるというのは自分が勝手に大きくした妄想にすぎず、実際にはなくなっても困らないものなのです。